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「で、飯食ってくんだろ」
長岡は立ち上がりながらそう言った。
今日は休日ではない。
週の中日、平日だ。
勉強をみてもらっても良いかと言われ、1時間程職員会議があるがそれでも良ければと快諾したのは昼の事。
珍しいなとは思ったが、恋人に会えるのは素直に嬉しい。
それも勉強で頼ってくれた。
なら、帰宅は早い方が良いかとスーパーに寄らずに来たお陰で冷蔵庫の中は寂しい。
冷蔵庫を開けても中身が増える訳ではないが、取り敢えず覗いてみる。
「冷蔵庫の中あんま入ってねぇけどな。
何食いてぇ?」
「正宗さん」
「ん?」
「少しだけ、甘えても良いですか…?」
冷蔵庫の中を覗いていた長岡はドアを閉めると、腕を差し出した。
その腕に手を伸ばす三条はさっきの真面目な顔から犬の様な顔になっている。
「こっちが目的か?」
「……半分」
肩に顔を埋めた三条は小さな声で告白すると、背中を擦っていた手が腰を強く抱いた。
毎日会っていたのに土日しか会えなくなって寂しいのは同じだ。
「遥登が来てくれたお陰でデートも出来んな」
サラサラの髪に鼻を埋めゆっくりと呼吸をする。
身体中の疲れが解れて溶けていく。
怠かった会議が嘘の様だ。
「それから、乳首の消毒もしねぇと」
「……それは大丈夫です」
「遠慮すんなって。
遥登と俺の仲だろ」
三条の腹がぐぅーと鳴ったがその腕には力が入っていて、言外にもう少しこのままと甘えられている様で嬉しい。
どんなに大人になったって、この癖だけは変わらずにいて欲しい。
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