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使命感とバニラアイスと屋上
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地獄のような日々のなかで、心が休まる時間はアイスを食べるときだけだった。
ぶっくりと腫れて熱をもっている頬に、カップアイスをあてて冷やす。
とろけたクリームを舌にのせると、バニラの甘い香りが口いっぱいに広がる。おいしくて涙があふれてとまらなかった。
そんなことを繰り返し、今度こそは絶対に死のうと決めた日。
最期のバニラアイスを食べ終え、屋上をめざす。
怖くはなかった。
ふしぎと手足も震えない。
使命感にも似た決意を腹に感じたとき、後ろから肩をつかまれた。
「なぁ」
逃げようとは思わなかった。
すでに何度もぶたれて、体のあちこちがしびれて感覚がほとんど無い。いまさら追加で何発くらったって同じだ。
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