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新矢自由という男
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はじめまして自由です。言っておくがヤンキーではない。勉強が嫌いなだけだ。やればできることをわざわざ誰かに教えてもらうのが癪なんだ。体育など実技教科も然り。だから、授業はテストのときだけ行っている。それ以外は全部保健室。ちなみに、オレはバイだ。可愛ければ男も女も抱けるタイプ。
今日も今日とて保健室でボーっと寝ていた。そんな時、誰かが保健室に運ばれてきた。保健室に誰かが運ばれてくるなど日常的にある。だから、あまり気に留めなかった。それに、運ばれてきたやつの意識は無いようだから、無視して惰眠を貪ることにした。
数分後、突然自分の腹の音で目を覚ました。
「ふわぁ…あー、腹減った。お?」
起き上がってみるとさっき運ばれてきたやつがこちらを見ていた。
「目覚めたんだ、あんた。オレ腹減ったんだけどなんか食いもんくれ。」
オレがそう言うとそいつは間抜けな面して「…へ?」と間抜けな声を出した。
「だからぁ、食いもんくれっつってんだよ。聞こえねぇの?」
オレは腹が減るとイライラするタイプだ。だから、食い物を持ってないならそれでいいのだが、持っているのであればすぐさまオレに寄越してほしい。だから、さっさとオレの質問に答えて欲しかった。
そいつは少し怯えた顔でズボンから小さな包みをオレに差し出した。中身はクッキーだった。
一口かじった。
「うめー!これ、お前が作ったの?」
クッキーはめちゃくちゃ美味かった。包みを見るとおそらく手作りだ。
「そうだけど、僕、お前じゃなくて菱村潤 先 輩 な。」
今更だが、そいつは菱村潤というらしい。先輩を強調するあたり、なかなか上下関係に厳しい人であることがうかがえた。
「あー、わり。潤先輩なわかった。オレは新矢自由」
名乗られたなら、オレも名乗らねばなるまいと思い、女みたいであまりオレは好きではない自分の名を名乗った。先輩のリアクションはオレが思い描いていた通り。
「み、みゆ!?お前、女か?」
ほーらな。でも、先輩はかすかに怯えているような表情を見せた。
「女じゃねえ。オレは男だ。名前で判断してんじゃねぇよ」
そうオレが言うと、先輩は安心したように胸を撫で下ろしていた。
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