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衝撃的な学園祭-2
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「着いたーー!結構疲れた……って、ハル?大丈夫なの?」
「大丈夫……じゃない……かも」
結局何を聞いても話してくれないハルに焦れた美琴は、電車の中ではイヤホンをして音楽を聴き自分の世界に浸ることにしたのだが、家に帰り着いてもぼんやりしている姿に痺れを切らして再度聞いてみた。
やっと反応が帰ってきたことに安堵したもののこのまま家に帰す気にもなれず、自分の部屋へと連れていくことにした。
「美琴おかえり。直斗どうだった?」
普段は無口な兄が直斗のことは気になるようで目を輝かせて聞いてきたのだが、今は親友のことが最優先だ。
「ごめんねお兄ちゃん。後で話すから一旦部屋に行くね」
結婚後、二世帯住居に改築して同じ敷地内に住む兄には遠慮をしてもらうことにして、少し残念そうな兄に再度謝りながらハルを連れて階段を上がった。
(あんまり興味が無いみたいにしているけど、弟のことは気になるのね)
普段は淡白な兄が、直斗のことを気にしている様子に満足してふっと笑顔が漏れた。
大学も職場も自宅から通っている美琴とハルは一度も一人暮らしをした経験が無く、親からも結婚を急かされることが無いため恋愛にも全く危機感がない。
早く彼氏を作って結婚を!と合コンに明け暮れる同僚達のバイタリティに感心しながらも、ぬるぬると過ごしている。
「で?ハル……いい加減、ちゃんと話をして?」
「……引かないでよ」
「今更だってば。引かないからとっとと話してスッキリしな?」
鏡台の椅子を運んでベッドに浅く腰を下ろしているハルの近くへ置き、パサッと座って正面からハルの目を見ると、そこで学園を出てから初めて視線が合ったことに気が付いた。
「あのさ………」
「うん、なあに?」
「…………………股間が……熱いんだけど」
「………………………はぁ?」
素っ頓狂な声を上げてその大きさに自分でも驚いた美琴は握りしめた拳で口を塞ぎ、目の前の幼馴染をマジマジと見つめた。
「直斗達と一緒に演奏していたギターの人……泣きボクロの人……見てたんだ」
「うん、その人ならかなり目立っていたから知ってる。百瀬くんでしょ?……で、その人がどうしたの?」
それまで夢見心地でぼうっとしていたハルが、目元を紅く染めてもじもじしていたかと思えば、意を決したようにホッと一息吐くと、ついさっき見て来て感じたことを全て吐き出した。
急遽結成された学園の人気者によるバンドと聞いていたので特別期待はしていなかったハルは、演奏開始早々その完成度の高さに驚きと共に胸の高揚感で鳥肌を立てていた。
一際目立っていたのがギターを担当していた大柄な生徒で、本当に高校生か?と疑うほどに出来上がった逞しい体をしていた。
その彼が楽しそうに演奏をしながら視線を送る先には、直斗が失恋したという佐藤が無表情でシンセサイザーを弾いている。
(うぅ、何回見ても不気味な子だな……それに、ギターの子と一切目を合わせない。……もしかして緊張してるのか?)
見ようによっては余裕が無いとも取れるが、泣きボクロ男子を相手にしていない冷たさを感じるのは否めない。
不思議な子だなと思い、あれほど待ち望んでいた直斗の姿よりも気になりだして目を離せないでいると、近付いてきた泣きボクロ男子を佐藤がギロりと睨みつけた。
(うわぁ……こわっ。近付くなってことかな?……あの綺麗な顔をしたギターの子……めっちゃ嫌われてるじゃん)
自分が睨まれたわけでも無いのに心苦しくなったハルは、そのキツい目を向けられた生徒が気の毒になり、そろっと視線を移してみれば……!
(なんて表情をしているんだ?)
とても睨まれているとは思えない程の、うっとりとした泣きボクロ男子の表情に魅せられて、釘付けになってしまった。
(あれは俗に言う胸キュンだろうか?睨まれて喜ぶなんてドMなのかな?)
火照った顔を真っ直ぐに佐藤へ向けた横顔はそれはそれは美しく、この世のものとは思えない程の眩しさだった。
彼は紛れもなく佐藤に恋をしていると確信した。
こんな顔を向けられたら流石に佐藤も思うところが有るんじゃないかと見てみれば……不快感をあらわにして一点を軽蔑の眼差しで見つめている。
その視線の先は泣きボクロ男子の下半身でーー。
(……あ、勃ってる!……嘘だろ?)
恍惚とした顔で佐藤を見つめ返し、今にも昇天しそうな彼の股間は大きく膨らんでいた。
すぐにギターで隠されてしまい、残念に思ったハルは自分の股間が熱くてジンジンと疼く感覚に驚き、その場で固まってしまった。
ハッと我に返ると急いで周りを見回したが、隣で盛り上がっている美琴は直斗に夢中になっているし、他には誰も気がついた様子はなかった。
まるで自分が勃起したのを見られてしまったような羞恥心に自身で戸惑いながら、生まれて初めて生で見た膨らみを思い出して、顔に血が集まるのを感じた。
そして、股間の熱さと疼きがおさまることもなかった。
ハルは恋愛経験がなくセックスどころか一人エッチすらしたことが無い。
赤裸々になんでも語る友達にやり方を聞いたことがあるが、風呂場で触ってみても気持ちが良いとは思えなかった。
(それなのに……他人の勃起を見て自分まで気持ちが良いだなんて……)
経験したことの無い興奮と快感が続く状態で、頭の中が沸騰したような感覚に逃げ出したくなった。
初めての感情に翻弄されて自分自身を見失いそうになったハルは、まさに心臓が早鐘を打つという表現がぴったりだ。
その後も佐藤と泣きボクロ男子は何度も目を合わせ、そこだけが特別な神話の世界のようにハルの目には映った。
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