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運命の出会い-2
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(身体全体が熱く滾る)
国王の声など既に耳に入っていないハルは、全身の血が湧き上がる感覚に気絶しそうな状態を必死で堪えていた。
帯剣をしている所から騎士だと分かるのだが、漆黒の騎士服を纏った美男は初めて目にするものだ。
艶やかな濃紺色の豊かな髪は少し長さがあり、元の世界では有り得ない程の美しさでハルを魅了した。
(やばい。なんだこの感覚は……下半身が……熱い)
熱に浮かされたようにフワフワして、頭がぼーっとしだしたハルは、この胸のときめきに既視感を覚えた。
直斗の学園祭で泣きボクロ男子の佐藤に対する熱い眼差しを見て滾った、あの感覚と全く同じ、いやそれ以上かもしれない。
抑えきれなくなった衝動はハルを大胆にさせ、長年ねじ伏せてきた理性もあっさりと崩壊した。
体が勝手に動き出し、気が付けば彼の元へと駆け出していたハルは、体当たりをする勢いで飛び込むと、リバーダルスと呼ばれた色男の身体にしがみついた。
「結婚を前提にヤらせて下さい!!!」
スパーーーーン
スポーーーーン
上手くいけば新たな洗浄師の誕生になるかと若干浮かれていた場が一斉に静まり返り、皆が唖然としているなか、小気味よい音が辺りに響き渡ったと同時にハルが呻き声をあげた。
「ちょっとお、神官長……美琴までスリッパで叩かないで」
「これは失礼致しました……余りにも破廉恥な発言を耳にして条件反射で手が勝手に……はて?スリッパとは何ですか?」
神官長の興味はスリッパに持っていかれたようで、思わず隣に居た美琴に勢いで持たせてしまった上質な素材で出来た履物を見つめながら考え込んでしまった。
「神官長……異世界での履物の呼び方のひとつなので、深くお考えにならないで下さいな……」
もう相棒と呼んでも良いのではないか?と思える程、息ピッタリにハルの頭をはたいた神官長のつまらない悩みをいち早く解決した美琴は、履き物をお返しすると長く年季の入った溜め息を吐いた。
「はあぁぁぁ……ハル、あんたね、ここへ来てキャラが変わりすぎよ?なんだか振り切れちゃって、怖いんだけど。とにかく離れなさい」
真っ青な顔を更に強ばらせたリバーダルスにしがみつき、血が溜まって硬くなった股間を彼の太ももに擦りつけているハルを見て、呆れながら続けた。
「……そんな野獣みたいなハルは初めて見たわ……まぁ、幸せそうで何よりだけどーー」
「ちょっとお待ちください美琴様!!『幸せそうで何よりだけど』じゃございませんから!!貴女だけが頼りなんですからね!」
ハルに説教をするとばかり思っていた神官長は、親友の穢れた姿を見てむしろ感動してしまった美琴に度肝を抜かれ、慌てて彼女を正しい道へ導くべく大声で訴えた。
「あらそうね。ごめんなさい。でも……彼らも子供ではないのだから、あとは二人に任せましょうよ」
ケロッと言い終えるとさっさと元の場所、先に神官長が戻った隣まで歩いてきて、ハルを慈しみの目で見守り出した。
そして……一方ハルたちは……。
「は、は、……はっ」
「は?……何ですか?」
「は、離せ!この不埒者が!!!!!」
何が何だか分からずに固まっていたリバーダルスが、やっとこの状況を飲み込んだようで、自分に引っ付いて離れないハルを引き剥がしながら大声で叫んだ。
「はぁはぁ……無理ですよ……僕にはチートが有るんでそれ位の力、子猫がじゃれてるくらいにしか思えません」
「「「「「なんだと???」」」」」
ハルの言葉に驚いたのはリバーダルスだけではなかった。何故ならば彼の力が騎士の中では大陸で一番の強さだとこの場にいる者全て、いや、この世界では広く認知されていたからだ。
リバーダルス団長が率いる精悦部隊は、選りすぐりの魔法騎士が集まった国一番の魔力を誇る、強者揃いの特別騎士団だった。
なおも股間を擦り付けて荒い息を吐き続ける『ハル』という名の異世界人から距離を取ろうともがくリバーダルスの姿を見て、生ぬるく見守っていた国王までもが顔を青くした。
しかしざわめき始めた臣下や騎士達の前で国の指導者が混乱している場合ではないと、国王・ミカエルはよく通る落ち着いた声で問いかけた。
「リバーダルス……ハルの力はそれ程までに……強いのか?」
国王の発言を妨げるものは流石におらず、皆が一同に我に返って冷静さを取り戻し、少しの恐怖を含んだ期待の目でハルを見ている。
「くっ……確かに、こいつビクとも動かん……離れろと言っておるだろうが」
「はぁ……たまんない……熱く滾った僕の『分身』を好きな相手に押し付けてグリグリするのがずっと夢だったんです!……はぁはぁ」
「や、やめないか!この変態が!」
国王は頭が悪そうなハルの言葉は聞かなかったことにし、命令し慣れた態度でゆっくりと重い声を形にしていく。
「まあ待てリバーダルスよ。其の方への口の利き方を改めよ。ハル殿が異世界人と言うのは本当のことのようだ」
「陛下……今なんと?」
「大陸一の力に対等に渡り合える者が、そう簡単に居るはずがなかろう。ハル殿も今この時をもってプレミアム貴族とする。ーー皆の者も良いな」
「「「「「御意」」」」」
国王はピシャリと言い切ると『能力』を秘めた異世界人が二人も現れたことに大喜びし、今後のことを話し合うため臣下と近衛騎士らを引き連れて大広間から出て行ってしまった。
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