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第四王子の生い立ち-1
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「頼むから、離れてくれ」
「はぁー、仕方が無いですね」
一先ずリバーダルスから真剣にお願いされて泣く泣く離れたハルは、この人について行くしかないと心に決めて、残りの観衆の前で高々と宣言した。
「僕はこの人の言うことしか聞かないし、動かないから。……理不尽にも巻き込まれてこの世界に来てしまったんだ。これくらいはワガママを言っても良いと思う!!」
ハルの口走った内容にギョッとしたリバーダルスは、自分は先程出て行った国王に忠誠を誓っているのだから勝手なことを言われても困ると言い、直ぐには首を縦には振らなかった。
「では早速ですが、陛下の承諾を得てきましょう」
「メイロード……他人事だと思って楽しんでいるだろ」
「滅相もございません」
腹の黒さがにじみ溢れる微笑みを浮かべたメイロードは品のある所作で一礼すると、踵を返して足速にその場から出て行った。
「ハル……殿、私の何処を評価されたのか分かりませんが、戦争も大魔物も無くなった現在、我々特別騎士団は他の騎士団が持て余した案件の処理が主な仕事で、決して華やかなものではございませんよ?」
「いやぁー、そんな堅苦しい言葉遣いはやめて下さいよ。あとハルって呼び捨てで!ーーよく分かりませんが貴方から離れたくないんです!騎士としてお傍に居させて下さい。今は身体が目当てでも、必ず貴方の心も愛しますから!」
「ちょっ、身体が目当てなのか?……ふざけるな!そんな志で騎士を目指すなど有り得ないだろ」
ハルのお許しが出た途端にガラッと口調が悪くなったリバーダルスだが、身体が評価されたと知れば彼の態度も仕方の無いことだ。
その場に残った者が、正直に何でも思ったことを口にする異世界人に呆れつつも、この国を救う為にはハルの秘められた能力に期待せざるを得ないのも事実だった。
「リバーダルス団長。ハル殿を貴方に託すとの王命により、指導並びに全ての責任は特別騎士団 団長が負うこととします。以上」
有無を言わさず、と言った所だろうか。
メイロードが連れ帰ってきた国王の右腕でもある宰相に言い渡されてしまっては、否が応にも逆らうわけにはいかず、ましてや騎士ともなれば王命は絶対であるので渋々ながらも受け入れるほかはない。
「そんな嫌な顔しないで下さいよ!僕は貴方の役に立つよう全力で頑張りますから!……はぁはぁ」
最後の荒い息遣いを全力で無視したリバーダルスは、今後の業務や自分たちが任された任務を説明するため、神官長がお世話をするであろう美琴に挨拶を済ませると、ハルと特別騎士団 副団長を連れて大広間から出て行った。
大広間に残されていた者の多くがそれぞれの騎士団の団長、副団長だった為、顔見知りの者が多く、彼らの期待を込めた視線と変な者の面倒を押し付けられたリバーダルスを労る眼差しに見送られることになった。
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