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カコン、
静かな空間に鹿威しの音と流れる水音が響く。
日本家屋の大きなお屋敷。
斗真のお父さんで組長さんの側近である魁斗さんに案内して頂き、奥の和室の間に通された。
上座には、アキラのように強く静かな雰囲気を纏う和服の男性。隣には美しい綺麗な女性が座っていた。
「親父。ユキだ。」
「・・・、織部 雪です。初めまして」
きゅ、と膝の上の拳に力を入れ頭を下げた。
アキラがゆっくりと言葉を続けた。
「俺はユキと結婚する。こいつも了承済みだ。」
「・・・ユキ、といったな」
重い口が開いた。
はい、と返事して、くるかもしれない暴力に堪える為にぎゅっと拳を握りしめた。
「この世界は死と隣り合わせの世界だ。俺もアキラも、他の組員も明日死んだっておかしくねえ。
あんたも先日敵の手に堕ちて危害を加えられたと報告を受けている。
また同じことが起こるかもしんねえ。
ユキの考えを聞かせてくれ」
俺の、考え・・・
すぅ、と息を吸って、姿勢を正す。
殴られないかな・・・
痛いのは嫌・・・
怖い。こわいけど・・・隣にはアキラがいる。
大丈夫。
「・・・俺の世界は理不尽な暴力と血だけでした。
親に見捨てられ、養父に暴力を受け、死んだように生きていた。・・・いや、ただ呼吸だけをするロボットでした。」
眠ると、夢を見る。
母親の剥き出しの歯と尖った爪、大きな身体の怪物のような養父。
実際にはそんなことないのに、ただただ怖いイメージが頭にこびりついて離れない。
アキラによって、二人から解放されたのに俺はまだ囚われたまま
魘されて飛び起きることも沢山ある。
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