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* Sweet.1 *
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掴まれたほうの手をぶんぶんと振って、その場から立ち去ろうとしたが失敗に終わった。
むしろ逆に逃がさないとばかりに、さらに力を込められる。
鈍い痛みに、夕里は思わず顔をしかめた。
「じ……じゃあさ! 10万でどう!? 身体の相性よかったらもうちょっと上乗せしても……」
「はあ……」
一回り以上も年上のスーツ男性が、なりふり構わず迫ってくるので周りの視線が痛い。
誰でもいいから助けて欲しい。
通り過ぎる都会の人間は、余計なことに巻き込まれたくないといったような表情でこちらを一瞥しては、そのまま通りすぎていく。
ひそひそと言い合いながら歩き去っていく男の大学生を睨み返しながら、夕里は悔しそうに唇を噛む。
──可愛い女子高生がこうやって絡まれてたら、速攻助けられてるんだろうなー……。
スマートフォンに映し出された時刻は17時ちょうどだ。
サイトのクチコミで書かれていた「確実に食べたいなら17時まで!」というレビューが脳裏に浮かんで、夕里の気分はますます沈んだ。
「本っ当あり得ないんだけど! ねぇ、責任取ってくれません……?」
夕里は頬を膨らませながら、スーツの襟をくいくいと引っ張った。
威勢のいい喧嘩腰の台詞は、何故か違う意味に解釈されて返ってくる。
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