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* Sweet.1 *
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指摘されて初めて気づいて、夕里は箸を置いて慌てて手のひらを合わせる。
「いただきます」
かぼちゃのコロッケを口に運ぶと、ほんのり優しい甘味が拡がった。
砂糖をこんもり使った直接的な甘さではなくて、野菜そのものの味だと分かる。
──これ、めちゃくちゃ美味しいかも……!
「こっちの卵焼きと甘露煮も食べてみ。甘くて美味しいから」
甘いという言葉につられて、夕里は茅野が勧めるお惣菜を口に入れる。
卵焼きは噛む度にじゅわ……と出汁の風味が出てきて、マシュマロみたいにふわふわで幸せな気分になる。
さつまいもの甘露煮は見事な黄金色で照りも綺麗だ。
隠し味は蜂蜜とレモンの果汁だという。
甘くするために砂糖をくわえるという単純な足し算ではなくて、素材を活かすために最低限の味つけがされている。
夕里の食べっぷりに、茅野はくすっと笑って手を伸ばす。
唇の端にご飯粒がついていたらしく、取ったものを夕里の口に押し込んだ。
「ん……!」
「あ、悪い。癖でつい手が滑ったわ」
そのままがしがしと頭をかき混ぜられるものだから、鬱陶しくなって夕里は箸を口にくわえたまま、茅野の手を掴む。
「俺はお前の弟じゃないってば」
「そう? 小さくて撫でるのにちょうどいい感じ」
「本っ当お前、性格悪い……」
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