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* Sweet.1 *
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連は注意されると渋々、茶碗を左手に持って食べるのを再開する。
それでもおかずが消えていくペースは、夕里よりも断然速い。
しばし見つめていると、連と目が合ってにかっと眩しく笑んだ。
「ねえねえ、もしかしてピンクのお兄ちゃんって、九重 千里っていう弟いる?」
「え……そうだけど、何で分かったの」
「やっぱり! だって千里、学校で毎日お兄ちゃん可愛いって自慢してるし」
兄がどれほど使えないかという愚痴を吹聴してまわっているかと思いきや、夕里のことでのろけているなんて想像もしなかった。
何かと足蹴にされている夕里だが、自分に非があると感じているため、不満を言える立場ではない。
ツンの成分が10割でデレの要素など素振りも全く見せない千里が、兄の夕里のことを可愛いと言うなんて、帰り道に嵐にでも遇いそうだ。
「へぇー……そうなんだ。家にいるときとは全然違うなー……」
決して謙遜ではない感想を呟いて、夕里は食事を続ける。
甘いもの以外の食べものを、こんなにお腹いっぱい食べたのは生まれて初めてかもしれない。
物心ついた頃から甘味を感じるもの以外は、身体が受けつけなくて偏食ばかりの毎日だった。
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