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* Sweet.1 *
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図星を突かれて、夕里は分かりやすく押し黙った。
拗ねたのはほんのわずかな時間だけだったので、ほっと胸を撫で下ろす。
千里もかやのやの惣菜が気に入ったらしく、数種類の中から交互に口へと運んでいく。
「うん、確かに美味しい。隠し味に味噌使ってるんだ。そぼろによく味がついてる」
「本当に? 隠し味って隠れて分かんないから隠し味じゃないの?」
「毎日料理つくってるんだから、それくらい分かる。甘いものしか食べないバカ舌の兄貴じゃないんだし」
兄である威厳の欠片もない夕里は、完全に言い負かされる。
夕里には手厳しいが、女の子には物腰柔らかなタイプを演じているため、中学では彼氏にしたいランキングのトップに輝いている。
同性からの妬みをさぞかし買っているのかと思いきや、弁護士である母親の才能を受け継いでいて、コミュニケーション能力が異様に高く、上手くあしらっているようだ。
「あんなに食わず嫌いだったのに、茅野の家の惣菜は食べるんだ……?」
「甘いもの限定でな。砂糖入ってない食べものなんて絶対食べられない、って思ってたのに。意外といけるもんだな」
珍しく箸を使って食事をする夕里に、向かい側で不満そうな顔をしている。
次はどんなお説教が飛んでくるのかひやひやしたけれど、その夜は久しぶりに平穏に過ごせた。
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