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* Sweet.2 *
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玄関の扉を開けると、ほんのり甘いいい匂いがしてきてうっとりする。
家庭科の授業でつくったエプロンを着た千里が、ぱたぱたと走ってきて出迎えてくれる。
「お帰りなさいっ。お兄ちゃん」
──いやいやいや、誰!? 俺の弟はお兄ちゃんなんて言わないぞ。
ああ、そうか今日は茅野が隣にいるからか。
同級生で茅野の弟の連によると、こっちの猫を被ったほうの千里が学校では通常らしい。
「夕里お兄ちゃんがお世話になってます! かやのやのお惣菜、俺もお裾分けしてもらいました。お兄ちゃんいっつも食わず嫌いするのにすごく喜んでて」
「気に入ってくれたならよかった。知り合いなら安くするからこれからもご贔屓にしてね」
ちゃっかりと夕里と千里をリピーターに引き込もうとしている弁当屋の長男は、どうぞとリビングに招かれる。
「今日の夕ご飯えらく豪華だな」
「夕里お兄ちゃんのお友達が来るからはりきってつくりすぎちゃった。でも少ないよりはいいよね?」
「千里の明日のお弁当になるならいいんじゃない?」
「もー! そう言ってお兄ちゃんはお弁当持っていかないで、自分の好きなやつ食べるんだから!」
ぎゅう、と夕里の腕に絡んできて、千里はすりすりと頬をくっつける。
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