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* Sweet.3 *
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直視しているのが心臓に悪くて、夕里は得意げな表情を満面に出す男の顔を、なるべく見ないようにした。
「そういえばゆうちゃんがさー、初キスを男に……」
「え、ええぇっ!? 俺そんな話したっけ!? 何言ってんのかなー……寺沢は」
あははー、と笑っていかにもわざとらしく遮る夕里は、ちらちらと茅野の反応を窺う。
ばしばしと寺沢の肩を叩きながら、空気を読め、と無茶な念を送った。
「へぇ、初キスの相手って誰だったの?」
──本っ当、性格悪いな……! 言うわけないだろふざけんな。
「……知らない。覚えてない。ショック過ぎて」
茅野の表情に動揺が拡がっていき、夕里にもそれが伝わる。
──何で茅野のほうが傷ついたみたいな顔してるんだよ。
ファーストキスのみならず2回も3回も分かっていて、強引にキスをかましたのはどっちなんだ。被害者なのはこっちなのに。
胸の内側がむずむずする感覚を覚えて、呼吸するだけでも何かが喉につっかえて擦れる気がする。
もうキスの件については触れないことにした。
「……お弁当、ありがと。卵焼き美味しかったよ」
明らかにテンションの下がっている茅野を見ていられなくて、夕里から声をかける。
「ショック過ぎて」はさすがに言い過ぎた気がしたからだ。でも、前言撤回はしない。
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