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* Sweet.3 *
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「忙しくなったの……って。全然混んでないんだけど」
ぶつぶつ言いながらお客の前で身支度を整える茅野の背を、いつもおっとりしている直美がぴしゃりと叩いた。
「もう! お客様の前で着替えないの! 失礼でしょう!」
直美と同じかやのやの仕事着である、えんじ色のちりめん生地をインナーの上から羽織るようにして着る。
前合わせの部分がすでに縫われており、手間をかけなくてもきっちりとした和服のような装いになる。
制服じゃない姿に夕里はしばらくぼーっと見入っていた。
「いいのよー。息子さんの生着替えをお目にかかれて幸せだわ……」
夕里の目には見えないのだが、茅野は何か特別なイオンでも出しているのだろうか。
ちょうど夕ご飯の買い物で来店した主婦達が、茅野の周りを一斉に囲んでいる。
夕里が知るにこの年代の女性は、1番コミュニケーション能力が高い……というよりは、押しがとにかく強い。
「本当に格好いいわねぇ、舜くん。直美さん、うちの息子と交換してくれないかしら!?」
「高校生でお家のお手伝いしているなんて偉いわ。親孝行な息子さんねぇ」
手を握られたりいろんなところを撫でられて、普段人付き合いに長けている茅野でさえも苦笑いを浮かべている。
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