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* Sweet.3 *
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「夕里は米炊けるようになった?」
「当たり前だろ。カップで測ってその分の水入れるだけじゃん。教えてもらったら誰でも出来るし」
水の分量を間違えてしまって、何度か炊飯器の中でお粥になっていたのは秘密だ。
その度に千里には呆れられて「バカ兄貴は算数も出来ないの?」となじられている。
夕里が家事に関わると、1週間に1回くらいはとんでもない失敗してしまう。
それでも千里は「何もしてくれないほうが楽」とは言わなくなった。
「……え、何これ。頼んでないけど」
他のお客の分を間違えたのだろうかと思い呟くも、茅野は「内緒」と指を立てて片目を瞑った。
けれど、直美にすぐに見つかってしまい、「何やってるの」と茅野を咎めた。
「夕里くんには私がサービスするんだから! ……これね、よかったら家族で食べてね」
「えっ、え? いや、払いますよ。俺」
「おばさんが趣味でつくってるものだからいいのよぉ。形も不恰好だし、お店には到底並べられないものだけど……。あっ、失敗したって訳じゃないから味はすごく美味しいのよ」
綺麗な山吹色をしているスイートポテトは、焼いている途中で少し中身が弾けて飛び出したのか、ところどころ割れていたりする。
手作り感があって、これはこれで売り場にあれば買う人もいるのではないかと思った。
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