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* Sweet.4 *
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炭酸の飲み物だけ手にして、茅野は店から出ていった。
3人のテーブルに集まっていた女子の視線は一気になくなってしまい、居心地は少しよくなった。
茅野が1人になったタイミングで何人かに話しかけられたけれど、角が立たないように断って立ち去った。
茅野のトレーには口をつけていないドーナツが2つ残っている。
寺沢はさも当然のように2つともを、夕里に譲った。
友達の歴は寺沢のほうが長いのにいざ茅野がいなくなると、話題に困る。
余った生クリームにドーナツを浸して口に運び、もういないことは分かっているのに店の外を眺めた。
「ゆうちゃんってさ」
「なっ、何?」
過剰に反応して振り返る夕里に、寺沢はどうしたの、と気にかけてくれる。
別にどうもしないのに、やけに心臓の音は煩くてドキドキしている。
「舜と遊ぶようになってから丸くなったよね」
「丸く……? 俺ってどんなふうに思われてんの」
「ゆうちゃん全然デレないし」
「友達の……しかも男にデレなんて必要あるか」
寺沢の発言を一蹴すると、夕里は手持ちぶさたにスマートフォンを弄る。
周りで「格好よかったねー」と言い合う女子に、何故か苛立っていて。
大好物の甘いものを食べてもイライラは解消されない。
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