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* Sweet.4 *
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夕里がのしかかってきて画面が割れなくてよかった、なんて言いながら再びスマートフォンをポケットにしまう茅野を見て、夕里はぽろぽろと涙を溢す。
「いきなり泣いたり、撫でなかったら不機嫌になるしで、本当面白い。夕里」
「もう……やだっ……。……すき。茅野が……好き。他のやつに、とられたくない……っ」
言ったら楽になると思った言葉は、すぐに融点を超えて形を伴わなくなる。
舌足らずに繰り返す「好き」という言葉に、茅野の目元がほんのりと赤く染まる。
「かと思ったらいきなり甘えてくるし。今日どうしたの」
「茅野は……どう思ってるんだよ。俺のこと……」
「夕里は最近俺のこと好きになったみたいだけど。俺のほうがもっと前から好きになってたよ。夕里、俺と違って感情表現が率直で見てて楽しいし。勝手に癒されて好きになってた」
もやもやイコール好きという単純な方程式よりも、複雑な経緯をしたり顔で聞かされて、夕里は目をぱちくりとさせた。でもやっぱり単純だ。
「癒されて好きになるとか単純だな。俺はぬいぐるみか」
ひねた返しに茅野は笑う。
その表情はどこかすっきりしていて、夕里も完全に喉元のつかえが取れた気がした。
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