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* Sweet.4 *
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ふてくされたように呟かれて、夕里は反射的に謝った。
恐る恐る上目になって茅野を見上げると、大きな手のひらが頭に降ってきた。
嫌がるとでも思ったのか、少し遠慮がちに。
──宿題とか弟とか、そんなので断られたら遠回しに避けられてるかも、って思うよな。俺だって勘繰るかも。
いつも自信ありげで夕里に対して意地悪でからかってくる茅野が、自分のいないところでそうやって密かに想っていてくれている事実にきゅんとする。
そんなギャップに、ああ、また好きになるな、って思ってしまうのだ。
一度でも恋する気持ちを自覚してしまったら、底無し沼のようにはまっていってしまう。
「……今度の日曜日、うちに来ていいよ」
「へぇ、覚悟は決まったの?」
「そ、その代わり! 午前は出かけるんだからな! 食べたいスイーツ全部食べるまで付き合ってもらうから覚悟しろっ」
脅しとは全く捉えられていない台詞に、茅野は「楽しみにしてる」と答えて、隣の教室へ入っていた。
一方的にデート宣言を高らかに掲げてしまっただけだった。
周りは2人が付き合っているなんて、1ミリたりとも疑っていない。
「ゆうちゃん顔赤いね。風邪?」と帰ってくるなり、そう心配してきた寺沢に、「そんなんじゃない」と返事をするだけで精一杯だった。
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