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* Sweet.6 *
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「ええと、茅野君。いつもうちの夕里がお世話になっています。夕里の母の九重 絵里です。夕里が買ってきてくれているお惣菜、私と千里もいただいているの」
探るように切り出す絵里は、当たり障りのない話題を持ち寄る。
かやのやで働いているときのような、人当たりのいい笑みを浮かべながら茅野はお礼を言った。
その何でもない横顔がおよそ見慣れたものとは違い、心が波立つ。
「急ですみません。夕里のことで話があって」
「え、茅野……?」
まさか付き合っていることを言うんじゃないだろうか。
夕里は不安に揺れた瞳で、隣の茅野を見上げる。
「大丈夫」と唇が動いても、騒がしくなる心臓の音はなかなか治まらない。
「もっと、夕里にも構ってあげてください。家の事情のこと何も知らない、よそ者の俺が言うのは失礼かもしれませんけど。夕里、家に帰るときすごく寂しそうにしてるから」
寂しくても言えなかった言葉。
甘えたいだとかもっと一緒にいたいだとか、普段から忙しなくしている絵里に、さらに負担をかけなくなかったから、弱音を吐けなかった。
私生活について口煩く言われないし自由だから、1人でもいいと決着を着けたはずなのに、核心に触れられると精一杯だった虚勢は崩れていく。
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