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* Sweet.6 *
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きっぱりと言い切った茅野は、「言った通りの意味だけど?」と強気に返した。
圧倒されている絵里に、茅野は語気を緩めることなく続ける。
「別にいてもいなくても変わらないだろ。そんなに無関心なんだし」
無関心というやや乱暴な言葉に、絵里は涙を溜めた目で茅野と夕里のほうを見た。
いつになく弱気な母親の姿を見て、心がみしみしと痛んだ。
「今さらこんなことを言うのは……言い訳になってしまうのだけれど、私にとっての夕里と千里はかけがえのない宝物よ。2人に苦労かけないように、私1人でも育ててみせるって決めたのに、逆に寂しい思いをさせていたのね」
「母さんが頑張ってるのは、俺も分かってるし……。千里みたいに出来るかは分かんないけど、俺も家のこと手伝うようにする」
仕事に没頭する絵里を責められないくらい、自分だって毎日のように放課後になれば遊んでいた。
夕里や千里を学校に通わせて、生活のために絵里は働いているのに。
なかなか面と向かって話せなくて、たくさん遠回りをしてしまったけれど、ようやく思いを伝えられたことにほっとした。
「……出て行かないの? ここにいてくれるの?」
茅野の「俺の家で預かる」という台詞を真に受けている絵里は、潜めるような声で夕里に問う。
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