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* Sweet.6 *
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もともとそんな話は1つも事前に聞かされていなかったし、夕里のほうが驚いたくらいだ。
「……いるよ。俺もその、いろいろ悪かったし……母さんだけのせいじゃないから。だからさ、もう泣くなよ」
照れくささを混ぜた下手なりの言葉でも、どうやら絵里には十分伝わったようだ。
夕里は立ち上がって、涙を拭くためのハンカチを探す。
普段から全く触らないような場所だから、どこにあるのかも分からなくて、結局ベランダに干してあったタオルを渡した。
濡らした目元をひとしきり拭うと、絵里は「今日は休ませてね」と言い残して、2階の自室へ戻ろうとする。
「これ、夕里のよね?」
「え……わああぁ。ち、ちょっと! 何で……何で!」
「何で、って。ソファに置いてあったわよ。大事なものなら、自分の部屋にしまっておきなさいね」
紙袋を奪い取ると、夕里はそれを胸で抱き潰しながらその場で縮こまる。
絵里はらしくない欠伸をして、階段を上っていた。
「もう……最悪っ。何であんなところに置いてたんだよ!」
自分自身に突っ込みを入れる夕里を、茅野は怪訝そうな顔をして見下ろす。
顔を真っ赤にした夕里はもぞもぞと唇を噛んで、羞恥を誤魔化すために茅野を睨みつけた。
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