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* Sweet.7 *
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「ねむい……まだ布団で温もっていたい……」
「朝が弱いのは相変わらずね」
「弱いとかじゃなくて、睡眠が足りない。はぁ……二度寝に戻りたい」
「茅野君来るんでしょう。顔も洗ってないでどうするの」
目を閉じたらすぐにでも眠ってしまいそうだ。
半熟に蕩けているオムレツを口一杯に頬張りながら、夕里は「なあなあ」と千里に声をかける。
どうしてか、千里は不機嫌な表情を微塵も隠さずに、能天気に振る舞う夕里を鋭い目で射抜いた。
「な、何? 俺、何かした?」
「別にぃ? いい加減俺と目があったらびくびくするのやめなよ。みっともない」
「はぁ? びくびくなんかしてないし? っていうかさぁ、俺はお兄ちゃんだぞ。お兄ちゃんに対してちょっと生意気過ぎ」
──もう。何で朝から可愛い弟に睨まれてるんだよ……お兄ちゃん何かした!?
心当たりなら数えきれないほど思いつくが、考え出すとキリがないし落ち込むから思考を中断した。
「ご飯美味しかった! やば……茅野が来るまで10分もないじゃんっ」
夕里は大急ぎで身支度を整えて、ちょうど8時にきたメッセージに返信する。
『もう家の前まで着いてる』──文章だけの報告に、夕里の顔はついにやけた。
チェック柄のマフラーを巻いて自分の姿を、いろいろな角度で確認してから玄関の扉を開けた。
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