アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
* Sweet.7 *
-
茅野と会ったときの、あのテンションの上がりようは家でのものとはかけ離れていて、まだ慣れないでいる。
「誘いは嬉しいけどしばらくは遠慮しておく。家族との時間を大切にしな」
「え……う、うん」
茅野なりに夕里のことを考えてくれているのが分かって嬉しい。
にやついた頬をぱしっと叩いて引き締めた。
「夕里のお母さんにいつか認めてもらいたいから、これから仲良くしないとね」
そう遠くない未来に、茅野と付き合っていることを話さなければならない。
不安も少なからずあるけれど、茅野と一緒なら自然と前向きになれる。
──あれ? 意外と茅野って計算高い?
そういえば、俺のことも最初からフルネームで知っていたし、何かおっさんに絡まれて弱味握られてたような……?
くよくよと悩まないタイプの夕里は、一晩寝たら嫌な思い出は忘れる質だ。
ついこの間の出来事を思い出そうとする夕里の気を散らすように、茅野に手を握られた。
「ば、ばか……外だって」
「ポケットに入れるから分かんないって。あったかくするからいいよね」
「……いいよ」
茅野の大きな手に包まれて、ダッフルコートのポケットに一緒に入れてもらう。
距離もぐっと近くなるから、しぶしぶながらもちょっと嬉しかったりする。
内心で弾んでいるのを悟られないように、夕里はマフラーを口元まで引き上げた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
214 / 255