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* Sweet.7 *
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本当に泣いてないと思ったから反論したのに、ついでに触れた頬が濡れていてびっくりする。
嫌なことは一晩寝れば忘れてしまうタイプの夕里も、さすがにぐっすりとは眠れなくて翌朝には目の下に酷い隈をつくっていた。
「どうしたの、夕里。夜更かししたんじゃないでしょうね」
「……眠れなかったんだってば」
「声もガラガラよ。どうする? 今日休む?」
絵里は心配しながら体温計を渡してくる。
いろいろと考え込み過ぎて、知恵熱でも出たんじゃないかと疑うくらい、頭はぼーっとして働かない。
36度5分。アナログの数字が紛うことなく平熱だと知らせてくれる。
これから上がってくるかもね、と疲れた顔をしている夕里に警告した。
「学校は行く。しんどくなったら保健室で休むし」
「そう? もし帰れなさそうならタクシーを呼びなさいね」
「もう……いいってば。そんな大事にしたら恥ずかしいし」
夕里はテーブルに着くと、焼きたてのトーストに蜂蜜をたっぷりとかけてかじりつく。
元気はないが、食欲は普段通りにある。
「……はよ」
「おはよう。千里。お兄ちゃんより遅いなんて珍しいわねー」
呑気に欠伸をしながら階段を降りてくる千里が、夕里の向かい側に座った。
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