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* Sweet.7 *
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──それは絶対にない! あんな裏表あるやつなんて……!
全否定しようとしたところで、後ろから足音が聞こえて、夕里はぱっと繋いでいる手を解き、茅野から離れる。
どたどたと、やけに急いでいるけたたましい音に甘やかな雰囲気を壊されて、夕里は苛立った。
「お兄ちゃんっ!」
「は……誰!?」
足音がすぐ近くで止んだと思ったら、茅野と接しているほうの片側に、見慣れた姿が割り込んできた。
中学校指定のコートを着た千里が、夕里の腕に絡みついてくる。
家ではお目にかかることのない、キラキラした澄んだ瞳で見上げられて、夕里はう、と言葉を詰まらせた。
「お兄ちゃん何で置いてくの」と空々しい台詞を紡ぐ唇に、自然と視線が吸い寄せられて、思わず自分の口元を手の甲で拭う。
「おはよ。千里君。相変わらずお兄ちゃん子だね」
「全っ然! 家ではそれはもう……」
弟の素性を暴露しようとしたところで、千里の手が夕里の口を塞いだ。
わずかな声量で吹き込まれた台詞に、夕里は顔を赤らめる。
──「喋ったらここでキスする」って……!?
「お兄ちゃん子というより、弟離れ出来てない感じだよ。お兄ちゃん、俺がいないと何にも出来ないもんね? 昨日だって眠れない、って駄々捏ねるから一緒のベッドで寝てあげたんだし」
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