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* Sweet.7 *
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言いたいことは山ほどあるが、一度頭の中を整理したい。
改札へ乱雑に定期を押しつけてホームへ降りると、さっきから飄々としている茅野を睨んだ。
「ばか……何で言うんだよ。もうちょっと待ってくれるんじゃなかった?」
「向こうはとっくに気付いていたみたいだし、隠すのも千里君に悪いかな、って思って」
「はあ? 何がどう千里に悪いんだよ。なあってば!」
「……一応聞いておきたいんだけど。もしかして、千里君の気持ちに気付いてない?」
──わざわざ確認しなくても、昔からずっと嫌われてるよ。
ふと昨夜の唇を押し当てられた感触が戻ってきて、夕里はその部分をマフラーで隠した。
痕なんてついていないのだから、変に意識せずに茅野の隣にいればいいのに、後ろめたい気持ちでいっぱいになる。
「じゃあ、質問を変える。最近千里君と何かあった?」
「な、な……ないってば! ある訳ないじゃんっ。き、今日は機嫌悪かっただけじゃない? ……っていうか、普段家ではあんな感じだぞ、あいつ」
訝しげな目で見られたので、夕里は誤魔化すために茅野の肩辺りを軽くグーで殴った。
こういうときに限って電車は発車したばかりで、ホームは一時的に人が捌けている。
5分もすればまた埋もれるのだろうけれど、今の夕里にとっては果てしなく長い時間に感じる。
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