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* Sweet.7 *
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……────。
ホームに停まっては人を拾って通り過ぎていく電車を、ガラス戸1枚隔てた内側から見ていた。もう何本目だろう。
制服もスーツの姿もつい数分前からほとんどいなくなっていた。
スマートフォンの液晶の画面は、9時を指している。
走れば間に合う時刻はとっくに過ぎている。
画面に流れてきた通知は寺沢からで、「ゆうちゃん今日お休み?」というメッセージと緩い絵文字がアニメーションで動いている。
そんなつもりはない。
重苦しい空気を蹴って、今すぐ3人の密室から抜けたい。
どのタイミングで立ち上がろうか、そう考えている夕里は無意識のうちに片足を小刻みに揺らしていた。
「いつから」
「は、はいっ!」
「いつから舜君と付き合ってたの?」
口を閉ざす夕里にかわって、隣の茅野が「クリスマスから」とあっさり答える。
「……もっと早くからだと思ってた。なんだ、舜君って意外と奥手? っていうか、告白されて付き合うタイプだもんね」
「夕里にはちゃんと一途に恋して付き合ったから」
「一途に恋して、ってどのくらいだよ。俺よりずうっと短いくせに」
ぐるぐると自分の話題を環状線を走るみたいに、何周もされている。
──千里は結局何を言いたいんだ……?
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