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* Sweet.7 *
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嫌がらせでキスするって、モテる奴らの常套手段なのか? そして被害者はいつも自分で。
「兄貴がふらふらしてんのは分かりきったことだけど。……舜君に取られる前に、俺から言えばよかったって後悔してる。最近、そればっかり考えてた」
遠くに視線を投げて、弱く呟く千里に何と声をかければいいのか分からなかった。
心の底の深い部分を掬い取って、千里は話してくれている。
やがてサラリーマンの男性が待合室に入ってこようとすると、夕里は慌てて立ち上がって胸の前でバツ印をつくった。
ピンク色の髪をした夕里に、男性が目を一瞬見張った。身振りで理解したのか、それともあまり関わりたくないのか、すぐに踵を返す。
「……好きだったんだよ。大きくなっても単純なところ変わんないし、俺が悩んでてもいつも通り接してくれたから、長いこと好きなままでいられた。……はい、終わり! もう言わない!」
「千里……顔ぐちゃぐちゃになってるじゃん……っ」
袖でとめどなく溢れる涙を拭おうとするのをやんわり止めて、夕里は自分のハンカチを顔に押しつけた。
前が見えないように。夕里も泣いているのを知られないように。
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