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シュガーホリック シュガーライク
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頭から爪先までをひとしきり眺めて、寺沢が失礼極まりない感想を笑い混じりで言う。
茅野や寺沢以外の同級生にも散々からかわれたから、もう気にしない、と心に決めていたけれど、怒りはすぐに沸点の下限すれすれまで到達する。
生活指導の先生に「入学式だけはきちんとした格好をするように」と事前に注意されて、夕里はピンク色の髪を地毛の黒色に戻した。
普段なら絶対に留めないシャツの上のボタンとタイを外して、ふう、と息をつく。
春の穏やかな日差しも、何十分とその下にいればさすがに暑くて、ブレザーのボタンもついでに開け放った。
「俺はこっちの夕里のほうが好き」
「わ、わ……だから! これは俺の意思でやったんじゃないから! 今日限りなんだからなっ」
他の生徒がいる前で、茅野はさも平然と「好き」なんて言ってのける。
自分との関係を勘繰る人なんてきっといないのだから、反応せずに聞き流せばいいだけなのに。
茅野はそんな夕里の葛藤をも心読してみせて、「好き好き」とさらに恥ずかしいことを言う。
「ブレザーまで着て暑いし、髪もごわごわするし、もうやだ。お家帰りたい……帰って髪染めしたい。恥ずかしい」
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