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スイーツモンスター
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甘いものであふれ返る寒いこの月が好きだ。
相手に贈るためのスイーツは可愛く綺麗にラッピングされて、棚いっぱいを埋め尽くしている。
眺めているだけで幸せになる光景に、夕里はふにゃあと口元を緩ませる。
最近は「自分チョコ」なんてワードが広まり、誰かにあげるために買いに来たふりをしなくてもよくなった。
──まあ、今年は……いるんだけどな。
甘党の自分から甘いものをプレゼントされたら、どんな顔をするのだろう。
想像すると、頬は簡単に熱をもつ。
バレンタインムードについ浮かれて、夕里は一番人気のチョコレートを二つ手に取った。
バレンタイン当日は日曜日。
学校はないし休日だけれど、茅野は午前だけ実家の手伝いに出ていた。
お昼のピークが捌けた十三時の約束だったのに、茅野は家に来ないし、スマートフォンに遅れる等の返事もない。
こっちからの連絡にも気付かないくらいに忙しいのだろう。
夕里は一人リビングでそわそわしていた。
──もう……来ないなら食べちゃうぞ。
冗談で呟いたつもりが、「いや、そもそも茅野が悪いし……」と言い訳めいたものに移っていく。
自分用のチョコレートはバレンタインを待たずに、とっくに胃の中だ。
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