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スイーツモンスター
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「茅野のチョコレートはなくって……」
「どういうこと?」
責めるような口調にすり替わると、夕里は「ごめんなさいいぃ」とくずおれた。
「だって茅野来るの遅かったし……っ。俺が食べてもしょうがないじゃん」
涙ながらに訴えても、茅野が「それならしょうがない」と許すはずもなかった。
夕里が美味しく食べてくれるから作り甲斐がある、なんて溢していた男は、夕里から大好物を没収し、意地悪く笑んだ。
「ふぅん? じゃあ、俺がつくったやつ。自分で食べてもしょうがないよな」
「えっ? だめ、だめ……俺にくれたやつじゃん! ごめんってば」
茅野に抱きつくみたいな格好になっていることにも気付かずに、取り返そうと躍起になる。
自分のほうがいくら身体が小さいといえど、本気になればさすがに茅野も怯んだ。
「食べたいっ……食べさせてくださいいぃ」
「どうしようかなぁ」
夕里の必死の懇願に、ショコラテリーヌをちらつかせながら、もったいぶった返事をする。
──絶対……絶対、覚えてるからなっ。
「甘いものの恨みは怖いんだからなっ」
「はいはい、ごめんな。俺も遅れたから。仲直りしよ」
茅野が甘ったるく「許して?」と言うものだから、夕里も「うん……」と答えた。
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