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傷つけるつもりはなかった
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傷つけるつもりはなかった。
ただふっと、峰が山に現れたあいつが、金の髪を風になぶらせてるあいつが、
美しくて
はかなくて
こらえきれなくなった
アパートに連れ込んで、抗うのを、押さえ込んで、
俺が使ってないそこは
狭くなってて、
ああ、
それだけじゃない、
抗って、
俺をはねのけて、
半裸で玄関に逃げた。
シキバがちょうど帰ってこなかったら、あのまま表に飛び出されていた。
実家寄って、戻ったシキバは、激怒するのかと思ったら、
あいつをつかんで押し戻したんだ。
抱きなよ。
やりたかったんでしょ?
言われて抱けるやついるかよ。
でも俺のは猛り立ったままで
突き入れられたあいつは、
青八木一は絶叫し続けた。
声のかれた、涙のかれた人形のような青八木を、俺は貫き続けてる。
シキバがピアノ弾くから、防音のこの部屋が、青八木の悲鳴も隠してる。
なぜ怒らないシキバ。
俺の『彼』だろう?
『彼』だけど、
『二級彼』だもん。
一級にはかなわない。
言いながら、前衛風の曲を弾き続けてる。
くまんばちの飛行?
ざわざわしたこころをさらにかき乱す。
純ちゃんがしたいようにするのが一番なんだよ。
それが大事。
そんなシキバの言葉、態度に乗っかって、俺は一を汚す。
繰り返し。
繰り返し。
繰り返し。
もう、俺のもんじゃない。
爪の先から髪の毛の一筋まで。
俺のもんじゃない。
今はもう。
何もかもあいつのもの。
あいつのもの!!!
十二回抱いて、放り出した。
俺は泣いた。
うずくまって。
シキバは俺をいたわるように抱(いだ)く。
そっと。
ずっとそうしてくれていた。
あいつはもう、泣いてなかった。
ガラスの目で、俺以外のものをみていた。
迎える今泉(あいつ)が目に見えるようだ。
驚くけど、ひるまず抱きしめるだろう。
あいつも迷わず身を委ねる。
もう『なか』が変わってた。
俺の空間を忘れて、
あいつの形に開いていた。
T2。
だった。
昔。
昔。
もう
戻ることはないのだ。
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