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影
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日があるうちは良かった。
こどもらと遊んで、晩飯食って。
寝かしつけた後、スカシは俺らに酒をすすめた。
スコッチとかゆうやつかとおもったら、普通のオールドで、スカシもずいぶん庶民的になったんやな、とか思っとる間に、スカシはぐんぐんピッチあげてってもうて、
ワイと小野田君はスカシから、必死でグラスもぎ取る羽目んなった。
ええ加減にせえや!
そんな飲みかたして、無口先輩喜ぶ思うんか!!
大丈夫。
あの人はもう居ないんだから。
それとも迎えに来てくれるだろか。
小野田。
鳴子。
どう思う!?
目が据わっとる。
なにゆうたらええん。
どうすればワイら、スカシの心に飛び込めるん?
逡巡するワイの横で、
ただもううつむいて震えていた小野田君が、いきなり目ぇを上げた。
ばか!!
今泉くんのばかばかばか!!
しっかりしてよっ
たったそれだけ。
でも。
でもスカシの目ぇが一瞬しっかりしたんや。
一瞬の間の後、スカシ、号泣や。
両の目からあふれ出た涙が、グラスといわず、テーブルクロスといわず、びしょびしょに濡らした。
俺は…
俺は!!
その後は、全く言葉になってへんかった。
165センチ二人で、ひーふーしながらデカブツベッドに運んだ。
広いベッド。
ここでスカシと無口先輩が、と思うとめっさいらいらしたけども。
あの人はもうおらん。
誰ももう、一目も会われん。
どれほど、どれほど悔しいか。
ワイかて。
ワイかてなあ!!
小野田君と黙って歩いた。
月がものごっつきれいで。
俺らの影は同じ長さで地面に落ちとった。
あの人と、
同じ長さ…
そやねん。
ワイらもチームやったんや。
チーム165やったんや…
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