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プロローグ
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俺の名はカノル・ファロンス。
人間の世界では少し名の知れた弓使いだ。
....いや、だったと言うのが今は正しい。
少し前までは王都直属の勇者部隊の補欠メンバーとして、ちょっとした活躍をしていたのだが、ある日仲間と挑んだ敵に敗れ俺の人生は一変してしまった。
その敵というのは、魔王四天王の一人アンデッド族のボス、ドストミウル。そいつに挑んだ俺と仲間は敗走し敵の前から逃げ出した。
逃走作戦も上手くいったと思ったその時、ドストミウルはすごい速さで俺たちを追いかけてきた。逃走用の攻撃を最後まで放っていた俺は仲間から若干の遅れをとって走っていた訳だが、ここで思いもよらない事が起こった。
魔法使いの仲間が突然爆破魔法を放ったのだ。
それも追いかけてくるバケモノに、ではなく俺の目の前にだった。
確かに俺は遅れをとっていたし、俺を囮にすれば確実に逃げられる。ある意味完璧な作戦だ。
考える余裕もなく切り捨てられた俺は、何故か死ぬことも出来ずにアンデッドの捕虜になった...
とはいえ、今は捕虜なんて息苦しい立場じゃなくとても自由にやっている。
どういう訳かアンデッドの王、ドストミウルに気に入られた俺は色々な我儘を通してドストミウル邸の立派な使用人になった。
アンデッド族のヤツらとも打ち解けて今では冗談を言い合える程仲良しだ。
人間のくせにアンデッドと暮らすなんてはたから見たら馬鹿げている話かもしれないが、俺はこの生活が割と気に入っている。
人間に裏切られ、アンデッドになれた訳でも無いが、それでもきっとあの頃よりは気楽にやれている。
そんな感じでアンデッドの世界に馴染み、死の王に気に入られてしまったがそれほど悪い思いはしていない。過酷な労働をしなくても飯は食えるし、暖かい寝床はあるし、ワガママ言っても通る時もあるし、むしろ勇者部隊にいた時よりも楽に生きられている気がする。
そんな俺の平凡で狂った日々が続いている。
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