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創世祭②
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「君は特別神を嫌っているのか?」
俺はドストミウルと部屋に居た。
創世祭を嫌がっている様子を見かねたドストミウルが仕事を免除してくれたのだ。
「アンタは神様って信じてるわけ? 」
「神は居る。ただ居るだけだ、善でも悪でもなくただそこにいるだけ。」
カノルは肘をついて眉を潜めながらその考えを飲み込んだ。
「母親がさ、死んだ時、すげえ辛かった。」
カノルはうつむき加減でそう話した。
「俺の実母じゃなくて弟と妹の母親だったけど、ちゃんと俺の母ちゃんもしてくれた良い人だったから。次に親父が死んだ時は、辛いのもあったけどなんでって思う事が多かった。」
ドストミウルは何も言わずにカノルを見つめながら話を聞いた。
「俺の村の葬式は魂が神様の元に帰るようにって祈るんだ。でも俺達から母親も父親も奪って、妹も病気にするなんて神様ってなんて酷いやつなんだっていつも思ってた。」
カノルはゆっくりと息を吐いた。
「大人になってからはそんな子供らしい事は思わないけどね。それでも神様ってやつにいい思いはしないし信じられないかな。」
そう言いながらカノルは少し悲しそうに口元を緩めた。
「君に無理強いはしない。」
「ま、美味しい飯くらいは食ってやろうかな。」
「神が...神がもし君の両親を殺したのなら私は神に感謝しなくてはならない。」
カノルは少し目を開いてドストミウルを見つめた。
「君がこの運命を辿らなければ、私は君に会えなかったのだからね。」
「はっ」
カノルは何故か気が抜けたように笑っていた。
「なんだよそれ。」
例えばもし、この運命を仕組んだのが神では無かったのなら。
もしこの運命を仕組んだのが神ではなく目の前の死神だったのなら。そう思うと何故か心地良さを覚えるほどに笑えてきてしまった。
ああ、この受け止め方は酷く歪んでいる。
「機嫌が治ってきたかね。」
「うん、まあそうかも。」
「もう少し君を欲張っても?」
「...仰せのままに、旦那様。」
ふざけたようにそう言うと、ベットに寝転がったカノルにドストミウルは優しく覆いかぶさった。
創世祭の夜が聖夜だろうと俺には関係ないのだ。 俺には創世神様よりも信仰すべき死神様がついている。
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