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そんな俺を引き取ると行ってきたのは、当時やっと名前が知れだした笹倉(ささくら)家だった。
古くからある家ではあるが、会社の権力でいえばまだまだ。
成宮家が代々仕えてきた家と比べるとさらに劣る。
しかし父親も早く俺を追い出したかったのだろう。
俺はそこに行くことに決まった。
それが、12歳のときのことだった。
俺が最初に出会ったのは奥様の朱鳥(あすか)様。
朱鳥様はよく笑う、とても優しい方だった。
次に会ったのは笹倉家当主の充(みつる)様。
充様は優しさと厳しさの両方を持っている方だ。しかし普段は、その優しさをあまり見せられない。
そして長女の梓(あずさ)様。
梓様は聡明な方だった。
「成宮圭吾(なりみやけいご)くん、笹倉家へようこそ。本来、これからうちのことを覚えてもらって、それから誰につくか決めるようだが、あいにくうちは男には執事、女にはメイドをつけていてね。君が仕える主人はもう決まっている。」
挨拶を済ませたところで、充様がそう言った。
俺はここで、充様につく執事のうちの1人になるのだと、そう思っていた。
これではまた、落ちこぼれだと父様に怒られてしまうな、と。
けれど、現実は違っていた。
「君の主人は、この子だよ。」
充様の後ろから、小さな小さな体が現れる。
こんな、幼子に、俺が仕える?
そう思ったのは、一瞬だった。
まだ2歳ほどに見えるその子の、目の奥に感じられる何か。
他の子とは違う。
俺ははっきりとそう思った。
凛々しさと、大人っぽさを、感じるはずのない年齢の子に感じていた。
まるでこの子に、いや、この方に仕えるのが運命だと、そう言われていると錯覚するほど。
「ほら、傑(すぐる)。ご挨拶しなさい。」
「……こんにちは…」
拙い言葉。
そうだ、この方はまだ幼いんだ、とハッとした。
「まずは数日間、共に過ごしてみてくれ。」
充様にそう言われ、傑様との共同生活がスタートした。
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