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1.君と出会えて
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拝啓 僕の愛する優風君へ
この手紙を読んでいるということは、僕はもうこのよう世から居なくなってしまったということなんだろうな。
優しい優風君は僕のために泣いてくれてるのかな。それとも、まだ現実が受け止められていなかったりするのかな。
ちょっとだけ、僕の最後の大切な思い出を振り返ってみたいと思う。
君と出会ったのはちょうど1年前の春、高校の始業式だったね。僕は小さい頃から病気で、あまり学校には行けてなかった。だから久しぶりの登校で、浮かれてて転んだところを保健室まで運んでくれたのが優風君だった。転んで凄い恥ずかしくて泣きそうだったのに、起き上がろうとしたら目の前でものすごいイケメンが僕に手を差し伸べてくれていたときには心底驚いたよ。あれがきっかけで話すようになって話題も会うから少しずつ仲良くなれてたのかな。
少し過ぎて、校外学習。同じ班になれたときはうれしかったなぁ…。遊園地なんて初めて行ったからすごく楽しくて、乗り物には乗れなくても、美味しいものを食べたりパレードをみたりするだけでも楽しい思い出かたくさんできた。でも、お化け屋敷に連れて行かれたことはまだ根に持ってるから!!!(笑)
夏休みは、体調が優れなくなってきて、病院で治療を受けてた。遊びに誘ってくれたとき、一時退院の許可がもらえて行けたけど、倒れちゃって迷惑かけたよね。ごめんね。あの時はまだ優風君に、病気のこと伝えられなくて、心配かけちゃったかな。もうね、残りの寿命が少ないことは分かってたんだ。君はきっとそのことを知ったら気にしたりしそうだし、僕もまだ受け入れられなかったから言えなかった。この時は、思い出が欲しくて少し無理をしちゃった。確か、この頃からお医者さんに、学校に行くのを止められるようになった。
夏休みが終わってすぐ文化祭があった。僕達のクラスは喫茶店で、僕は教室内とか廊下の装飾係だったんだけど、優風君は料理係だったよね。格好良かったなあ…。エプロンとか、凄く似合ってた。優風君の作るパンケーキは絶品で、試作から女の子に大人気だった。準備は夜まで掛かったりしてて、でも僕は病院に帰らなきゃ行けなかったからなかなか手伝えなかったのに、みんな優しくて嬉しかった。
文化祭初日。この日は校内だけだったから、店の回りも良くて休憩をかぶせて貰って一緒にいろんなクラスを回ったよね。この時はお化け屋敷は断固として拒否したけど、他のところはほぼ全部回れたんじゃ無いかな。タピオカのお店で二人で撮った写真は大切にもってるよ。
2日目は一般公開ですごく混んで大変だったよね。特に優風君のパンケーキが人気で僕まで嬉しい気持ちになった。全部終わって、学校の中で1番の売り上げで表彰されたときは本当、みんながキラキラしてた。この日の最後の後夜祭で校庭のパーティーから抜け出して2人の教室で告白して貰ったときはぼろぼろ泣いちゃって、出会ったときからずっと好きだったから全然信じられなくてでもやっぱり凄く嬉しかった。その後に僕の病気についても話したよね。さっきまで嬉しくて泣いてたのに今度は凄く辛くて悲しくて、悔しくて訳わかんなくなってパニックになって泣いちゃった。優風君が抱きしめてくれて優風君の名前の通り、暖かい風が、ぬくもりが僕を包み込んでくれた。あれが1番安心して好きなんだ。
それから僕は学校に行けないほど容態が悪くなって、毎日が苦しかった。分かりたくないのに、知りたくないのにもうお別れだって思い知らされる。優風君は毎日放課後に僕の病室にきていろんな話をしてくれた。それだけで、僕はもう少しだけ、もう少しだけって頑張れたと思う。
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