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「……アリエル様、作戦会議です。」
「う、うん。」
翌朝、熱が下がった俺は、温かいスープをもらって飲んでいた。
その間に、カイと今後の話をしよう、ということになった。
「まず、アリエル様が来た頃といえば……」
俺が、ここに来たのはなんでだっけ?
エリックを助けた後、俺は普通に海に戻った。
そのあと、アデルバートに会うために陸に上がったんだ。
俺は半人間だから、人間になるのもそんなに難しくない。
それから、アデルバートが少しの間、海に戻ることになって、俺が代わりに陸で暮らすことになった。
でも、途中で風邪をひいて、城のすぐ近くの市場で倒れたんだ。
「……そうだ、アリエル様がここにいらした時も、風邪をひいていらっしゃいましたね。」
「そうだね。」
見つけてくれたのはカイで、エリックがとりあえず連れ帰ろうと言ってくれたらしい。
しばらく寝込んだ俺は、目を覚ましてすっごくびっくりしたんだ。
やたら豪華な場所にいると思ったら、助けた王子がいるし。
それから、医者からしばらく休養しろ、と言われて、この城にいることになったんだ。
俺は家に戻るつもりだったけど、一人暮らしで、また無理するだろうから、ってエリックに言われたんだっけ。
「この城で過ごされるようになって、すぐに我々使用人たちの心を掴みましたね。」
カイが微笑んでそう言う。
俺としてはそんなつもりはなかったけど、そうだったのかな。
「エリック様はお優しい方でしたが、やはり王族の方ですからね。我々とは一線を引いておられました。」
そういえば、最初の頃のエリックって、少しとっつきにくかったような。
「しかしアリエル様は気さくで、我々と同じ目線に立って話してくださいました。よく笑う貴方様に、使用人たちは心を開いていったのですよ。」
海では、俺の父親が偉かったから、俺に傅く人達もたくさんいたけど、俺はそれが好きじゃなかった。
みんなと仲良くしたかったし、同じ目線で話したかった。
だからここでは、そうしただけだったんだけど。
みんなによく思われてたなら、そうしてよかったなぁ。
「アリエル様。今は我々を思って、距離を置いてくださっているのでしょうが、来た頃と同じようにした方が、使用人達は思い出すと思います。」
「そう、なのかな。」
「はい。心配いりません。アリエル様のその温かい優しさと、愛らしい笑顔さえあれば、皆思い出します。」
前と、同じように。
「アリエル様は、そのままでよいのです。使用人達が変われば、エリック様もまた、気にかけてくださいます。」
確かに、前もそうだった。
使用人たちと仲良くなって、それから、エリックにも話しかけられるようになって。
それから、いろいろあったけど、エリックと気持ちを通わせることができたんだ。
きっと、また。
俺は、淡い期待を抱いた。
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