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・・・。
沈黙、気まずい。
「……それは、カーティスの料理か?」
「へ?あ、はい。」
突然声をかけられて驚く。
隣をよく見ると、俺のとは少し違うメニューだった。
カーティスは俺が野菜が好きって言ったから、それをメインにしてくれてるんだろう。
「……これも食べろ。」
差し出されたのはメインの肉料理。
エリックは肉が好きだ。
「えっ?!」
「……俺は外で接待を受けてきた。あまりお腹は空いていない。」
接待。だから疲れた顔してたんだ。
「でも、これメイン料理ですよ…?」
「お前は、細いから。」
「……え?」
「少し肉をつけろ、と言ってる。」
ずい、と差し出され、完全にお前が食べろ状態。
「……で、では…一口だけ、いただきます。」
「ん。」
スープを飲むエリックの横で肉を1切れ、口に運ぶ。
「ルナ様っ?!」
口に入れて、飲み込んだその瞬間に聞こえた、カーティスの叫び声。
「カーティス、食事中ですよ、静かに…」
カイがそう言ってカーティスを戒めるも、カーティスはそれを無視して、俺の方にやってくる。
「っ、?!」
カーティスが俺の元にたどり着く前に、俺はカーティスが叫んだ意味を知った。
「は、っ、ヒュ、ヒューッ、はぁっ、…」
「ルナ様っ、くそ、飲み込んだのか!おい、早く医者を呼べ!!」
「ルナ様!!カーティス、--------……」
苦しくて、テーブルクロスをぎゅっと握る。
カイが何かを話しているが、もう、それを聞き取れなかった。
*
「ルナ様っ?!」
カーティスの叫び声に、心臓がドクンと跳ねる。
なにやら焦って、こちらに向かってくるが、一体何事だというのか。
カーティスを戒めるカイの声の途中で、カチャン、とシルバーが音を立てた。
「は、っ、ヒュ、ヒューッ、はぁっ、…」
「ルナ様っ、くそ、飲み込んだのか!おい、早く医者を呼べ!!」
「ルナ様!!カーティス、まさか甲殻類か?!」
「はいっ……この肉のソースに使っていて…まさか、お食べになることはないと思い、本人にはお伝えしておりませんでしたっ……申し訳ありません!!」
ガバリとカイに頭を下げるカーティス。
苦しそうに呼吸をする側室が、ぐしゃりとテーブルクロスを握り、そのあとで椅子から崩れ落ちた。
ガシャガシャン!と大きな音を立て、テーブルに乗っていた料理が落ちる。
側室がきていた綺麗なドレスが、料理で汚れた。
「エリック様、このままここで治療致しますので、食堂を出ていて貰えますか?」
「……わかった。」
カイに声をかけられるまで、俺は全く動けなかった。
ひどく、怖かったのだ。
この男が、死ぬ事を考えたら。
理由など、わからない。
ただただ、怖かった。
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