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「……ん、ぅ…」
「アリエル様っ!!」
「……?カイ…?」
まだ朧気な視界。
俺の名前を呼ぶ人。
「申し訳、ありませんっ……『2度』も、貴方様を危険な目に、合わせるなど……料理人失格です……っ…」
頭の中に、ハテナが浮かぶ。
2度?
料理人?
カイが言うことじゃない。
「か、てぃす……?」
「…はい……カーティスでございます。」
俺のベッドの隣にいたのは、カイではなく、泣きそうな顔をしたカーティスだった。
「……いま、あれ……?」
俺、まだ意識が朦朧としてるのかな?
「アリエル様……私は…貴方様を傷つけ続け、さらには命を脅かし……本当に、なんてことをっ…」
あれ、やっぱり、今。
「ね、カーティス……」
「はい、アリエル様。」
「っ、もっと、よんで。」
「は、はい?」
「おれのこと、よんで。そしたら、ぜんぶ……ぜーんぶ、ゆるすから。」
涙を堪えて、そう言う。
ぐしゃっ、と顔を歪めたカーティスが、震える声を紡ぎ出す。
「アリエル、様っ…」
「……うん、うん…」
「貴方様が、アリエル様ですっ……」
「っ、うん……」
「本当にっ……申し訳ございませんっ……!」
深々と頭を下げるカーティス。
けれど俺は、良かった、って思っていた。
確かに、重篤なアレルギー反応を起こしたのはこれが二回目だ。
でも、それでも、カーティスの記憶が戻ったことの方が嬉しい。
「アリエル様っ?!」
「ぁ、カイ……っわ、なに、えっ、わ……」
ぎゅう、と抱きしめられる。
「よかった、ほんとに……よかったっ…」
「……だ、だいじょうぶだって……軽率に食べた俺が悪かったんだよ。」
エリックは、俺のアレルギーを知ってて、それを含むものは絶対に共有してこないから、安心しきってたせいもある。
今は、記憶が無いんだから、それだって安心できないことだったのに。
「エリックが、エリックじゃないってこと……忘れてた。」
自分で言って、言葉にしてしまうと、傷ついた。
「アリエル様……」
「今後は、皆に共有します。昨晩の騒ぎで、コックたちは皆、貴方様のことを思い出しています。貴方様がここに来られてすぐのあの事件は、皆の記憶に深く、深く刻まれていますから。」
「ええ。その場にいたメイド達も、思い出していました。あの事件は、もう二度と、同じことを起こすまい、と使用人たち全員で誓ったものだったのです。」
「そう、なんだ……」
「それを、また起こしてしまうとは……我々は使用人として、失格です。たとえ記憶がなかったとしても、決して忘れてはならないことでした。」
もう、いいのになぁ、と思うけど、それを言ったらカイに怒られそうだ。
もっと自分を大切に、って。
「あの、それと、大変申し上げにくいのですが……」
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