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「どうしようどうしようどうしよう、何着ていくのが無難?」
「アリエル様、今キャンディが参りますので、落ち着いて……」
「ドレス?でも城下に行くのにドレス?ワンピースか?それとも王族指定のジャケット?でもそれだと俺は側室なのに……」
「クスクス、アリエル様。」
「なに?」
不安そうに振り返るアリエル様。
前も、初デートの時はこうだったな、なんて思う。
「何を着ても似合いますから、ご心配なく。それから、エリック様は、貴方様を仕立て屋にお連れするつもりのようですから、着替えやすい服が好ましいかと思います。」
「仕立て屋?なんでだ……?」
この方は、本当に鈍い。
先日ドレスをダメにしてしまったことを、エリック様は気にされていた。
代わりのドレスをプレゼントするおつもりなのだ。
「とにかく、堅苦しい服より、村娘達が着るような服の方が良いかもしれませんね。」
「なるほど!その手があった!」
本当は、王族らしい姿を見せ、国民たちの記憶をいっぺんに戻してしまうこともできそうだが、国民たちの記憶はエリック様の記憶が戻ればすぐに戻るというから、焦ることは無いだろう。
それになにより、元から王族らしく振る舞うのを苦手とする方だ。
国民には国民の目線で、と生活してきたアリエル様は、城下で権力を振りかざすようなことは嫌がるだろう。
「カイ執事長、キャンディが参りました。」
「ああ、通してくれ。」
今日はエリック様とのお出かけ。
そのため、私がアリエル様についていても何も違和感も抱かれない。
今日、なんとか、少しでもエリック様の記憶を戻すきっかけを作りたい。
「ルナ様っ、ご準備手伝いに参りました!」
「はいっ、お願いします!」
ガバァ!と頭を下げるアリエル様に、私とキャンディはくすくす笑ってしまう。
「ルナ様、なんだか『アリエル』様み、た……い…?」
「へ?」
自分で言って首を傾げてしまうキャンディに、アリエル様も首を傾げる。
キャンディが記憶を取り戻す日も、近いかもしれない。
「いえ!なんでもないんです。とりあえずお着替えします?」
「はい!」
「それではキャンディ、任せましたよ。私はエリック様の準備に行きますので。」
「はい、お任せ下さい。」
「カイ、さん、また後で。」
「はい、また後で。」
にこりと微笑んで、部屋をでる。
「……カイ執事長、最近楽しそうですね。」
「クス、そう見えるか?」
「ええ。」
「ディランも、ルナ様とよく話してみるといい。」
「……なぜです?」
「お前、ルナ様のことをどれぐらい知っている?」
「それは……」
「ルナ様に付く以上、どんなにルナ様が嫌いでも、彼が主人だ。彼のことをよく知りなさい。」
「……わかりました。」
ディランの記憶も、接するうちに戻るに違いない。
元々、アリエル様に忠誠を誓い、絶対に守り抜くと決めていたのだから。
私は、皆が記憶を取り戻していくことを思い、また微笑んだ。
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