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「星と海を見ることが大好きです。空を眺めるのも好きです。動物も大好きです。食べ物は、ジャムクッキーがとても気に入っています。野菜のスープやサンドイッチもお気に入りで、カーティスさんによく頼んでいます。」
「……そうか。動物は、俺も好きだ。」
「小鳥がお好きですよね。」
「……誰から聞いた?」
「あ……その…」
「カイだな?」
「は、はい。」
「いいではありませんか。ルナ様も小鳥をよく愛でられているとお聞きして、お伝えしたのですよ。」
そういえば、体調を崩した頃そんなことを言っていたような。
「……苦手なものは?」
「特には……虫の類はあまり得意ではありませんが、苦手という程では。甲殻類にはアレルギーがありますが、体内に入れなければそれも……」
「霊の類は怖くないのか?」
「怖くないですね。それより実際にあるものの方が怖いです。」
「そうか。」
歩きながら、ぽつりぽつりと会話をする。
少しだが、側室のことがわかってきた。
「お前は、贈り物を受け取らなかったが、ああいったものは嫌いなのか?」
「いえ……俺なんかにくださるのはもったいないと、思っただけです。俺にくださるより、女王陛下にあげてほしいな、と……」
「今日は、必ず受け取れ。」
「はい?」
「今日は、お前のために選ぶ贈り物だ。それをアリエルに渡すなんて失礼だろう。だから、必ずお前が受け取れ。」
「わかりました、ありがとうございます。」
微笑む側室に、やはり心がムズムズする。
それに戸惑う間に、目的の仕立て屋に到着した。
「国王陛下、ようこそいらっしゃいました。」
恭しく頭を下げる店主。
側室は店に入ろうとしない。
「おい、何してる?来い。」
「は、はい……」
「本日はどのようなご要件で?」
まるで側室を無視するかのように、店主は俺に向かって話しかけてくる。
「こいつのドレスを仕立てて欲しい。デザインは俺が指定する。」
「側室の、ですか……アリエル様ではなく……」
「……なにか不満でも?」
カイが咎めるような声を出す。
俺も一言言おうと口を開きかけた時だった。
「申し訳ありません、ここのドレスは頂けません。」
「なぜだ?店主が気に入らなかったか?」
「あの、そうではなく……俺には、もったいないです。」
なぜ、こいつはこうなんだ。
なぜ、自分を下げるようなことを言う?
店主に気を使い、俺たちに気を使っているのは目に見えてわかる。
それをなぜ、自分一人で被ろうとするのだろう。
「……わかった。別の店にしよう。」
「え……?!」
「別に俺は、この店にこだわりはない。ただ、アリエルがいいと言う店だから、お前も気に入ればと思っただけだ。お前には、お前の仕立て屋を探そう。」
「っ、いえ、そんなっ……」
「国王の命令だ。お前は従え。」
「は、はい……」
呆気に取られている店主はカイたちに任せ、俺は側室を連れて、先に店を出た。
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