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準備を終えて、広間に向かう。
エリックとダンスなんて、本当に久しぶりだ。
入口にはカイがいて、にこりと微笑んでくれる。なぜか一緒にサンディーもいて、お利口に座っていた。
ディランがついてくるのもここまでで、中に入れば俺とエリックの2人だけ。
深呼吸してから広間の扉を開けてもらう。
中にいたエリックが、こちらを向いた。
ダンスパーティーの時に着るような正装に、ドキドキして、見惚れてしまう。
「……何してる、来い。」
「は、はいっ……」
俺が中に入ると、扉が閉められ、音楽がかかる。
エリックがツカツカとこちらに歩いてきて、手を差し伸べられた。
「……ほら、手を出せ。」
「あ、あの……」
「なんだ?」
「俺、ダンスは苦手で……」
「心配するな。きちんとリードする。」
そう言われては、手を取るしかなくて。
緊張しながらも、そっと手を乗せる。
すると、サッと腰を抱かれて、あっという間にダンスの姿勢をとらされた。
「男側も女側もしたことないのか?」
「……あ、未経験では、ないのですが……」
「そうか、なら、だいたいの流れはわかるな?」
「はい。」
「あとは俺に任せていろ。」
そう言われて、エリックに身を任せた。
*
側室のドレスが音楽に合わせて、ふわり、ふわりと揺れる。
少しぎこちないが、決して下手ではないダンス。
リードするのはそう難しくなかった。
俺を見つめたり、恥ずかしそうに下を向いたり、反応が奥ゆかしい。
こんな気持ちになるのは、不思議だった。
もっといろんな反応を見たい。
こいつのことを知りたい。
「……ルナ。」
「は、はいっ……すみません、下手くそで…」
「いや、ぎこちないが、下手ではない。」
「それは国王陛下のリードが上手いからですよ。」
どこまでも謙虚な男だ。
慎ましやかで、影からそっと支えてくれるような。
こういう者が、王妃に向いているのだろうか。
……いや、俺は今、何を?
「……そろそろやめにしよう。」
「……はい。」
残念そうな顔。
俺とのダンスを、楽しんでくれたのか?
音楽がやみ、扉が開いた。
その瞬間に、犬がこちらに駆け込んでくる。
「サンディー、走ると危ない……わっ!」
じゃれる犬に押され、ルナがバランスを崩した。
咄嗟に伸ばした片腕の中に、ルナがふわっと収まる。
男にしては、随分軽い。
「あっ、え、わっ……」
俺の腕の中にいることに慌て、ワタワタするルナ。
それに思わず、クスリと笑った。
「も、申し訳ありませんっ、国王陛下っ!」
それを見て慌てて起き上がるルナに、俺は少し残念な気持ちになった。
「構わん。食事にしよう。」
「……ご、ご一緒に…ですか?」
「……そうだ。不満か?」
「い、いえっ!」
嬉しそうに見えるルナ。
可愛いな、と、そう思った。
「サンディーを預けてきますね!」
そう言って先に出ていくルナを見やり、カイを呼ぶ。
「今夜、準備しておけ。断っても構わんと伝えておけ。」
「……!かしこまりました。」
カイがディランの方に向かうのを見て、俺も広間を後にした。
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