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戻ってきたエリックと少し話をした後、俺の部屋に戻った。
そこには俺以外にも、カイ、ディラン、カーティス。
「ディラン、やっとですか。待ちくたびれましたよ。」
「申し訳ありません……」
「ふふ、お前は真面目だなぁ。」
「カーティス……お前も思い出してたならヒントくらい……カイ執事長はそれとなく伝えてくれたのに。」
「ははっ、俺までディランに何か言ったら、アリエル様が気にするだろう。」
楽しそうに話す3人を見るのは久しぶりだ。
カーティスが持ってきてくれたジャムクッキーをつまみながら、俺は黙って3人の話を聞く。
その俺を、カイがチラリと見てきたので、思わず首をかしげた。
「……クスクス、可愛らしい顔をしてらっしゃる。」
「ふふ、ディランの記憶が戻ったのはそんなに嬉しいですかねえ?俺たち少し嫉妬してしまいますよ。」
「えっ、え?!そ、そんな!3人仲良さそうなの見るの、久しぶりだなぁって……それで、つい嬉しくなっちゃって……」
ワタワタとそう説明すると、3人は固まってから、目を見合わせてため息をつく。
「……無防備さは相変わらず、というわけですか。」
「ええ。早いことエリック様にも思い出して頂かなければ、私共の身が持ちません。」
「全くですね。」
ディラン、カイ、カーティスと順にそんなことを言われても。
俺にはなんの話やら。
「まあ、それでこそアリエル様ですかね。エリック様も、私共も、このお人柄に惹かれているのですし。」
「そうですね。今後は私がより一層、注意していくことといたします。」
「ええ、ディラン。任せましたよ。」
なんだかよく分からないが、解決したようでよかった。
「……またそのような顔をなさる……カイ執事長やディランの言っていることがわかっていないのですね……」
「……なにかまずいですか?」
「お外では、そのような顔をなされぬよう。」
「気をつけます……?あっ、これ美味しいっ!」
言いながら口に運んだ、新しいジャムのクッキーがあまりに美味しくて、すぐに意識がそっちにいってしまった。
「……それは、なによりでございます。」
「…カーティス、諦めましたね。」
「そうですね。」
コソコソと話す声は、俺には聞こえておらず。
「なんのジャムですか?」
「これは杏……アプリコットジャムですね。」
「ほえぇ……すっごく美味しいです。」
「朝食がパンの時にもお出し致しましょうか?」
「はいっ!」
「他にもいくつかジャムがございますが……今度出しておきますね。」
「本当ですか?!やったぁ!」
思わず頬が緩む。
変な気を遣うことなく、前みたいにみんなと話せる。
それだけで嬉しくて、幸せで仕方なかった。
「もう、失いたくありませんね。このお方の笑顔は。」
「はい、同感です。」
カイとディランは、アリエルを見てそう言って微笑むのだった。
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