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「かなり、取り乱しておられます。アリエル様ご本人がアデルバート様を呼ばれたとはいえ、慎重にお願い致します。」
「はい。」
「私はこの足でエリック様にも報告して参りますので、お願い致します。」
ここ最近は、とても幸せそうだったアリエル。
側近たちの記憶も戻り、エリックとも上手く行き始めていたと聞いていた。
それなのに、今になってどうして。
男たちはどうやら、魔法で操られていただけで、やはり記憶は無くしていたらしいが、アリエルに酷いことをし、心無い言葉をかけたらしい。
アリエルは酷く怯えているという。
エリックには見せたくない、と俺を呼んでいるらしい。
アリエルの部屋だというところにきて、扉をノックする。
中から扉が開かれ、ゆっくり中に入る。
「アリエル。俺だ。」
「アデル……?」
「ああ、アデルバートだ。」
「では、私はサンディーを呼んで参りますね。」
「ディラン……」
「大丈夫ですよ。アデルバート様がそばにいて下さいます。」
「……うん。」
ディランという執事にお辞儀をされ、軽く頭を下げてから、アリエルのところに行く。
「……アリエル。」
「っ、アデルバート……」
「怖かったな。もう、大丈夫だからな。」
そう言うと、クシャリと顔を歪めて、俺に抱きついてきた。
優しく頭を撫でると、アリエルにしては珍しく、声を上げて泣き出した。
「っ、う、うぁぁっぅ、うあぁぁっ……!」
「……あいつらの言ったことは、全部、魔女が言わせたことだ。あいつらの本心じゃない。大丈夫だ。お前に乱暴したのも、あいつらの意思じゃない。」
「ほん、とに……?あのひと、たちの、意思、じゃ、ない……?」
「ああ。そうだ。」
「……もう…されない……?」
「ああ。エリックにもきちんと話をするらしいから、たとえまた同じような奴がいても、今度はエリック達が追っ払ってくれる。」
「っ、エリックに、知られるの……?」
「大丈夫だ。エリックはお前を軽蔑したりしないよ。」
「ほんと……?」
「きっと心配する。だから、ちゃんと会ってやれ。落ち着くまで、俺がそばにいるから。落ち着いたら、ちゃんとエリックと会ってやるんだぞ?」
「…ん、うんっ……」
「ワン!」
「ぁ……サンディー……」
「クゥン……」
アリエルに擦り寄り、そばに伏せるサンディー。
この犬は本当に賢い。
「ルナ様っ……」
「キャンディさんまで……ごめんなさいっ……心配、かけて……」
「こら、お前が謝ることじゃない。」
「ふぇ、ぁ、ごめんなさっ……あっ……」
「ったく。」
「キャンディ、少し頼む。私はカイ執事長と話してくる。」
「はいっ、わかりました!」
このメイドは、まだ記憶が戻ってないんだったな。
気をつけないと。
「アリエル…ちょっとの間、ルナって呼ぶぞ。」
耳元でそう囁くと、コク、と頷かれた。
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