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国の皆は、前と変わらず、俺に良くしてくれた。
色々な話をしてくれたし、俺の体調を気遣ってくれて、『アリエル様』とか、『王妃様』とか呼んでくれて。
それがすごく嬉しくて、皆と会える時間が楽しくて仕方ない。
「アリエル様……」
けれど今は、ちょっと怖い。
俺の前にいるのは、前に俺に乱暴した3人で、この人たちが悪くないと分かってても、怖いと思った。
エリックは少し離れたところにカイといて、俺の隣にはディラン。
ちらっとディランを見上げる。
「……ダメそうですか?」
「……ううん。話してみる。」
「かしこまりました。ご無理はなさらぬよう。」
コク、と頷いて、3人に向き直る。
「アリエル様……本日はどうしても、言いたいことがあって参りました。」
何を言われるんだろう、とドキドキして、ぎゅっと手をにぎりしめた。
「俺たちの無礼、決して許さないでください!!」
ガバッ、と頭を下げた男がそう言う。
「本当に申し訳ありません!!」
「申し訳ありません!!」
次いで2人も頭を下げた。
「えっ、わ…え、っと……」
「どうか我々に処罰を!」
「今すぐ捕らえてください!!」
そんなことまで言い出して、俺は困ってしまった。
ディランをちらっと見たけれど、何かを言う気は無いらしい。
俺が決めろ、ってこと?
「アリエル様、どうか処罰を。」
「えっと……その……確かに、怖かったけど……俺、その、罰とか、そんなつもりはなくて……」
「しかし、我々がしたことは到底許されることではありません!仮に魔女から洗脳されていたとしても、我が国の王妃に手を出すなど、言語道断……死刑でも、甘んじて受ける覚悟でございます!」
どうか、と頭を下げられて、俺は困り果ててエリックを見た。
エリックは苦笑して、こちらに歩いてくる。
「いいのか?それで。」
「うん。だって、俺の事を助けてくれたのも、国の皆だから……」
「ふっ……お前はそういうやつだ。だから愛してるんだ。」
優しく頭を撫でたエリックが3人の方をむく。
「お前達。」
「はい、国王陛下。」
「罰を与えることを、アリエルは望んでいない。」
「しかし……!」
「その気持ちだけで、十分だ。それとも、アリエルの望まぬことをさせて、これ以上苦しめたいか?」
「いえ……それは、我々も望んでいません……」
「そうだろう?」
「ですがやはり、何もお咎めなしでは……」
「そうです、我々の気もすみません。」
エリックがちらりとこちらを見て、それからふと、何かを思いついた顔をした。
「ふむ、それなら、これでどうだ?」
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