アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
はじまりの出会い4
-
「あっ先生!!!違うんです、俺は関係ありませーん!!!!!」
俺がそう叫んだ瞬間の男たちの反応はかなり面白いものがあった。
一人は驚きすぎて足を滑らせ、一人は反射的に走りだし、残りは慌てて廊下に視線を向けてうろたえている。
「なっ、な、えっ?」
「せ、先生!?」
「や、やべえって、早く逃げんぞ!」
どうやら俺が教室にいたことにも本当に気が付いていなかったみたいだ。
振り向きざまに俺を睨んだやつもいたが、全員我先にと教室の外へ飛び出していってしまった。
……よかった、なんとか追い払えたみたいだ。
ほっと一息ついていると、馬渕がこっちを見つめているのが分かった。
ボサボサで伸ばしっぱなしの前髪の隙間から、蛇のような目が覗いている。こいつ、けっこう目付き悪いな。
「……せ、んせい。……いねえ……」
「ん?そうだよ。嘘」
馬渕が不思議そうに首を傾げているので、ぺろっと悪戯っぽく舌を出して笑って見せる。
つられて馬渕も、ふへ、と間の抜けた笑い声を漏らした。
ふと時計に目をやると、もう授業開始まで一分しかないことに気がつく。
俺は慌てて教材を抱える。
「馬渕、化学って教室どこ!?」
「んー……あ。あー、つれて、く……」
そう呟いて馬渕が俺の腕を引いた。
思ったよりその力が強くてドキリとしてしまう。
ぺた、ぺた。
馬渕は片方しか靴を履いていないので、足が廊下を打つ音が規則的に響く。
「お前それ、靴。あいつらに取られたのか?」
「う、あう……?くつ……くつ。……わかんね……」
「分かんねえって、何だそりゃ」
「あー……あさ。あしゃ?……あし、みや?」
「ん?」
「あり、がとお」
ぐにゃりと馬渕の顔が歪む。それが下手くそな笑顔だということに気が付くには少し時間が必要だった。
だがきちんと伝わった。
……変なやつだけど、悪いやつじゃなさそうだ。
俺も苦笑いを溢して、そのまま馬渕に手を引かれるままついていった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
4 / 16