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それは食べ物じゃあない (kygt)
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キヨはじっとある視線の先の一点のものを見つめた。視線の先にはゲームをしているガッチマン。キヨは、ガッチマンの、コントローラーを握っている手をかれこれ十数分見つめていた。それだけ見つめていれば気付くはずなのだが、集中しているからか、ガッチマンが気づく様子は全く無かった。キヨはガッチマンの手を見て思う。
『あーガッチさんの手って性的だなぁ』
蝉がけたたましく鳴く夏の真っ昼間から何を考えているんだ、と思わず言ってしまいたくなるのだが、確かにガッチマンの手は、その年齢にそぐわない、白くて線の細い手をしている。指は長く、存外細い。
ある時からそう思い始め、気がつけば性的な視線でガッチマンの手を見るようになった。そんな事を酒呑みの席で牛沢に言った事がある。その時の牛沢の顔は物凄く引き攣っていたという。
最近知ったのだか、どうやらキヨはガッチマンに想いを寄せているようだった。
健全でない妄想で自分が出てきているとは露知らずのガッチマンは、未だにその視線に気づいていない。キヨはそのことを面白く思った。これは、本当に集中モードに入っている。この時、呼びかけても反応しないことが多い。
画面を見つめ、数多くのゲームをやり抜いてきた歴戦のゲームコントローラー捌きで敵をなぎ倒していく。これは誰が見ても惚れ惚れしてしまいそうになるだろう。そのくらい見事なものであった。
そしてポチポチガチャガチャとボタンやらスティックを操作するガッチマンの指は、キヨにとってはより卑猥な物に見えるようで、ただただガッチマンがゲームをし終わるまで見ていたのだった。
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「あーやっとクリアした! 最後の敵が面倒だったなぁ。」
「おつかれガッチさん」
あれから小一時間が経過しただろうか。ガッチマンのやっていたゲームはまもなく終了を迎えたようで、ガッチマンは疲れたと伸びをしてみせた。背伸びをし、指の関節をパキポキと慣らす。その音からは、ガッチマンの疲れがよく見えた。
そこでもキヨの視線は止まらず、さすがに気づいたガッチマンは何事だとキヨに言った。
「キヨ、どしたの? 何かめっちゃ見てくるじゃん。」
「いやぁー…。」
ここでキヨは迷った。もうこのまま言ってしまおうかと。まあ言ったところで、『男女見境なく手を性的に見る少々変わった男』と認識されるだけならば、何ら怖くもない。キヨは、思い切って言ってみる事にした。
「あのさガッチさん。」
「うん?」
キヨは少し声のトーンを落とし、いかにも大事な話ですよ、と雰囲気を作った。それに対しガッチマンも何かしらを悟ったようで思わずキヨの方を向いた。
「おれ、ガッチさんの手が好きなんだけど」
「え…。」
ガッチマンは本気かコイツという視線を向けてきた。表情にもかなり現れているが、キヨが向ける性的な視線と比べれば、きっと大したことは無い。正直なところキヨはその視線ですら何か体の奥にクるものがあった。まあ、それは置いておこう。
「おまえ、おっさんの手が好きなの?」
「ちがう、ガッチさんの手が好きなの。」
そうキッパリ言ってやればガッチマンは「そうかなぁ?」と自分の手に視線をやり、ふにふにともう片方の手で触り始めた。
「キヨ、変わったねぇ…。 ちょっと昔は脚フェチって言ってたのに。」
「違うんだよ、ガッチさんの手だけが好きなの。」
真顔で迫ってくるキヨにガッチマンは知り得ない恐怖を抱いたが、気の所為だと自分に言い聞かせた。
「ガッチさん、お願い。 手、見せて!」
「お? お、おう、別に手ぐらい良いよ。 ほら。」
ガッチマンは内心そんなに必死ならなくても良いのに、と思いながらも、ほらとキヨに手を差し出した。キヨはなにか大切なものを貰ったと言わんばかりに目を輝かせマジマジとガッチマンの手を見つめた。
「やっぱり綺麗だわー。」
「はぁ。 ありがとう…?」
あまりにもキヨが綺麗だと褒めに褒めを重ねてくるものだから無視はできない。かと言ってどう反応すれば良いのか困る。とりあえず心がこもってるかも怪しいが、ありがとうと言っておいた。
キヨはガッチマン手を見る。
見れば見るほど、体の奥の熱がどっと押し寄せてくるような感覚に陥る。これはまずい、とキヨの頬に冷や汗がつたう。ガッチマンはというと、キヨに手を差し出すという姿勢をずっと続けているため、手が痺れてきていた。
「キヨ、まだ? そろそろ手がしびれて来ちゃったよ。」
「んー…」
ガッチマンの言葉をキヨは曖昧に返すだけ。ガッチマンはなんなんだと思いつつ付き合ってやる。
ガッチマンはちらりとキヨの目を見た。ギラギラとしている。例えるなら餌を前にした獣の様だった。それにガッチマンはなにかが背筋に這う感覚を覚える。
「ガッチさん、食べていい?」
「…は?」
「ガッチさんの手。」
キヨはどうしても欲求が抑えきれない。とことん変態だと自分でも思う。
戸惑いを隠せないガッチマンの言葉を遮ってキヨはパクリとガッチマンの指を食む。
口に含めば、骨に薄い皮が纏っている、どれだけ細いかがより実感できる。その細さを堪能するかのように指に舌を這わせる。
ガッチマンは驚き、戸惑いのあまり口から声が出ず、金魚のように口を開けたり閉めたりすることしか出来ない。それと同時に、何か得体の知れない羞恥に染められる。
「なんはひらんへお おいひい」
「何言ってんのか聞こえねーよ! っ、! や、ちょっと…!」
キヨはこんなことをして飽きないのだろうか。ガッチマンは疑問に思うが、珍しく取り乱され、いよいよ本当に恥ずかしいと感じた。
それに、舐められてるという不快感の中に擽ったさがあり、ついつい声を出してしまいそうになる。心なしか身体の奥から熱が湧いてくるようだった。それは段々と、じわじわと身体を侵食しているようだった。
「ねえ、キヨっ、! ん、うっ、もう止めて…!」
その言葉にキヨは反応し顔を上げた。取り乱すだなんて珍しいと呑気なことを思いながら。見ると、ほんの僅かに身体を震わせ恥ずかしさからか、目を潤ませたガッチマンがあった。
瞬間、キヨは、ずくんと、心臓かどっかを掴まれるような感覚を覚えた。そして思う。
『ガッチさんってこんなに可愛かったっけ』
と。今までガッチマンの手のことでしか反応を示していなかったが、まるで生娘のような反応をするガッチマンを可愛らしいと思ってしまう。口の中から指を解放してやれば、うわ、と言いながらティッシュで指を拭くガッチマン。
あんな反応をするガッチマンだが、きっと本人は無自覚でやっているのだろう。これを他所でもやっているのではと想像すると、嫉妬に似た感覚をキヨは覚えた。
ティッシュを丸めゴミ箱に投げ入れたガッチマンの手首をガシリと掴んだ。突然のことにガッチマンは思い切り肩を揺らした。相当驚いたのだろう。
「ガッチさんて可愛いよね」
「へっ?! はっ? ほ、ほもなの…?!」
ガッチマンはいきなり手首を掴まれ、何を言われるかと正直ヒヤヒヤしていたが、ある意味それは裏切られることになった。
今日のキヨはなんだか変だと感じる。なんというか少し怖い。
そんなことを頭の中で考えていれば、いつの間にか視界が反転して、ゴチンと音がしたと思えば後頭部が痛み、そして目の前には視界いっぱいのキヨ。
「なっなんで、押し倒すの…?」
「ガッチさん、そういう可愛いところあんま他の人に見せちゃダメだよ」
会話が成り立っているのか成り立っていないのか、正直よく分からなくなってきた。ガッチマンがいくら動揺していようが、キヨは至って冷静であった。そんな状況にガッチマンは何故だか悔しさを感じてしまう。しかし、押し倒されているガッチマンはどうこうすることは出来ず、ただただその姿勢で要るしかなかった。
細身でいかにも体重の軽そうなキヨだが、案外己の身を動かそうとしてもどういう訳か中々動かない。
「キヨ、重いよ! 早くどいてよ。」
「駄目。 俺、もう抑えきれないよ」
早すぎる展開を誰が予測していただろうか。それは誰も居ない。ガッチマンは一瞬のことで、瞬きをするしか出来なかった。
十数秒、「抑えきれない」という意味について考える。そんなガッチマンをお構い無しにキヨは言う。
「俺前やっと気づいたんだ。ガッチさんのこと、すっげー好き!」
「はわぁ…。」
どんどん加速する展開にもう着いていける余地は無かった。それでも、「好き」という単語は聞こえた。「好き」という意味なんて、考えずともわかる。それを理解した瞬間、ガッチマンの頬は火のように真っ赤に染った。
「え、ぁ、う、うん。 俺も、す、好きだよ?」
「どういう意味か理解してる?」
「えっ 友人として?」
言葉をつまらせながら、照れたようにキヨに好きだというガッチマン。そんな珍しい表情を見せたガッチマンに、キヨが望む"そういう感情"なのではないかと期待をしてみたが、あの天然なガッチマンだ、一応聞いてみたところ、やはりそうであった。ガッチマンは、友人としての「好き」、いわゆるライクだと思っていたようだった。
「あー… 俺もだよー。」
「?」
明らかに声のトーンがテンションと共に一気に落ちたキヨを見て不思議がるガッチマン。やはりガッチマンは天然なんだ。そう思うしか、この若干のショックは拭いきれなかった。
「ガッチさんの指、美味しかったよ。」
「なんか狂気じみてるよ、その言い方は。」
キヨはわざとらしく言ってやれば、先程のことを思い出したかのようにガッチマンは指を背中にやった。
そんな様子が面白くてたまらないと言った様子でキヨはさらに追い打ちをかけてやった。
「ガッチさん。 指咥えられてる時の声、少しエロかったよ。」
「~~~っ!、耳元で喋んなよ…!」
それっぽい雰囲気のことをそれっぽく、耳元で囁いてやった。ガッチマンは擽ったそうに身を捩っていた。
これは、口説きがいのある。
ガッチマンの表情は恍惚としていた。
キヨが堕とすまで、あと。
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【後書き】
ここまで読んで下さった方、本当にありがとうございました。
今回は、gtさんの手を性的な目で見るky をテーマにやって見ました。なんだこりゃ。
本来はこのままエロいシーンに持ってこようとしたのですが、うまくいきませんでした。
次回もよろしくお願いします。
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