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「信じるも何も…、あいつを拾ったこの場所で
そんなこと言われたら、信じるほかねーだろ?
…それに、お前がそう簡単に嘘つかないってことくらい、3年も毎日見てたらわかるよ。
もう一度会えて……っ、嬉しいよ。」
まっすぐに僕を見つめるメノウの目には、
疑う様子も憐れむ様子もない。
本当の本当に僕の話を信じてくれている…そんな目だ。
「あの時…、助けてくれてありがとう。たくさん遊んでくれて、最期の時まで優しく撫でてくれてありがとう。ほんとに、ありがとう…っ。ずっと、伝えたか…たんだっ。」
視界が霞んでメノウがゆがむ。
ずっと、バカにされると思っていた恐怖が消えたのと
やっと、言えなかった言葉を伝えられた喜びで
頭の中がいっぱいいっぱい。
「あの時みたいにね。また、親友になれたらって、思った…メノウが僕に気づかなくても、1から始めればいいって…、そう、思ってたんだ…。
僕、メノウの親友だったから、力になりたくて…頑張ったっ…。」
「ありがとう…、ありがとうagate…。
…っいつも助けてくれてたよな、沢山頑張って…グスッ…くれてたよな…っ。」
ブランコの鎖を引っ張られて、僕の身体がメノウの腕の中に沈む。
随分昔の記憶より、少し冷たいと感じるのは
メノウが大人になって体温が低くなったからだろうか。
それともこの寒い中、上着も羽織らずに
僕のもとに来てくれたからだろうか。
思わず、言ってしまいそうになる。
メノウが優しくするせいで、僕のやり場のない
この気持ちを、ついメノウにぶつけてしまいそうになる。
「ちが…っ、ほんとは…。親友、だからとかじゃ、な…くて……っ、」
込み上げる想いを抑えきれず、とうとう涙が溢れた。
頬を伝うそれが、メノウの立派な背広にシミを作る。
伝えたい事はもう済んだだろ、
どうして泣く必要がある。
これ以上を言葉にするのは、メノウを困らせるだけだ。
メノウに迷惑をかけるだけだ。
メノウは僕の非現実的な話を、ちゃんと信じてくれた。
あの時の感謝の気持ちをきちんと伝えられた。
嘘だと笑わず、有り得ないとバカにせず、
また会えて嬉しいと泣いてくれた。
それになんの不満があるんだよ。
これじゃまるで、まだ僕は何かを伝えたいみたいじゃないか。
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