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finale
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「グスッ…agate?どした……?」
情けなく鼻をすすりながら、
何も話さなくなった僕にメノウが問いかける。
僕の言いかけた言葉は、
確実に叶う事の無い想い。
例えメノウが、僕の前世の姿を信じてくれるような
優しい人物でも、それだけは変えられない。
優しいからこそ、今一番メノウの傍に居るあの人を
大切にしなければならないはず。
メノウに寄り添い続けると誓った日から3年。
本当にメノウの心に寄り添ってあげられるのは
僕じゃないんだと悟ってから2年半。
それでも、君の力になりたくて、
君の笑顔が見たくて、
君に頭を撫でてもらいたかった。
誉めてもらいたくて、
一緒に沢山の喜びを分かち合いたくて、
たまに叱られてみたくて、
でもやっぱり嫌われるのが怖くて。
日に日にメノウに寄せる想いは、
どんどん重く醜く色を濁していって
楽しくて面白い、陽だまりみたいな先生なのに、
つまらない嫉妬心から、ゆか先生を毛嫌いしたりした。
それでも僕に毎日挨拶をしてくれたゆか先生は、
多分メノウにも負けないくらい優しくて素敵な人だ。
だからメノウも彼女との結婚を決めたんだろう。
彼女と2人で幸せになる道を選んだんだろう。
それを僕が邪魔する権利はどこにもない。
だから、これを最後にするね。
あいつが言ったように、今後メノウに想いを伝える
”タイミング”なんて現れない。
それでいい。
伝わらなくていい。
「僕ね、またメノウに会えた時
神様って本当に居るんだなって思った。
もう一度メノウに触れたいっていう願いを
…叶えてくれたから。」
この言葉がどんな風に捉えられたところで、
どうだっていい。
手を伸ばせば、強く抱きしめ返す事は出来た。
でも僕は手を下におろしたまま、
18年間勉強してきた沢山の言葉の中で、
一番大きくて重たくて、
他に代わりなんて見つからない
かけがえのない言葉を口にした。
「愛してるよ、瑪瑙。」
メノウの記憶の片隅に、僕という一人の人間が
いつまでも存在していてほしいなんて願うのは
贅沢すぎるだろうか?
神様にも、呆れられてしまうかもしれない。
それでもいいや。
僕はもう、十分幸せ。
どんなものにも代えられないこの気持ちを、
世界で一番大切なメノウに教えてもらった。
最愛の君が、いつまでもいつまでも
大切な人と幸せでありますように。
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